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■狂った雪■

 

 

 

第13話「狂った雪」





・・・・私の願いはただ一つ・・・・・・

・・・・貴方たちにも悲しみと絶望を味わってもらうこと・・・・・











祐一が自分の失策に気がついたのは、それから暫くしてからだった。


「・・・くそッ!・・・」

自らの部屋のベットに横になっていた祐一だが、鼻をつく
焦げ臭い匂いに驚き、階下に駆け下りリビングのドアを開けた。




「なんてこった・・・・」
案の定、リビングは一面炎に包まれている。

そして、その先には二人の姿があった。


名雪の体にはテーブルクロスと思われる布がかけられ、目を閉じ、力なく
秋子の膝を枕に横たわっている。
口元からは薄っすらと血が一本の線を描き流れていたが、炎に照らされた
イトコの表情は祐一が見たことのないほど穏やかだった。

秋子はただ優しくその娘の長い髪を撫でている。


・・・・・・・・・・・・・・
それを見た祐一は、もう既に名雪はこの世にいないことを悟った。

そして、声をかけることも出来ずただ立ち尽くす。


その時、名雪だけを見つめていた秋子がゆっくりと頭を上げた。
その顔は寂しさと優しさが入り混じった複雑な顔だった。


しかし、祐一の顔を見た瞬間その表情が一変した。

秋子の炎の熱気で赤くなっている顔が更に赤みを増す、
そして、眉は吊り上がり、鋭い目つきで祐一を刺すように見据えた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・
まさに鬼の表情だった。

祐一はその視線から目を逸らすこともできず、
あまりの恐ろしさにガタガタと震え、瞳からは涙が溢れてくる。


希薄になっていた祐一の良心が一気に溢れ出したのかも知れない。


しかし、秋子は狼狽する祐一から視線を外すと、再び優しい表情を浮かべ、
もう目を開けることもない娘の方を見やり、その手をしっかりと握ると自らも
目を伏せる。

その光景は祐一が見た最後の水瀬母娘の姿だった。



やがて、炎は勢いを増し家全体を包みはじめる。

全てを焼き尽くすように・・。






そして、水瀬家が焼け落ちた頃。
祐一は無意識のうちに外に這い出していた。

だが、あたりを取り巻く消防車や野次馬の喧騒すら目に入らず
ただ俯いている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

依然、先ほどの光景に祐一は苛まれていたのだ。

目を閉じても、目を開いても、劫火の中の秋子の表情が頭を離れない。


・・・・・助けてくれ・・・・・助けて・・・・・
祐一はただ怯えながら頭を抱えている。


しかし、彼は何かを思い出したように目を見開くと
ゆっくりと歩きはじめた。


・・・・あゆ・・・・・・あゆ・・・・・・


ただ、そう呟きながら。








その頃。
誰も居ないはずの夜の学校では恒例となりつつある
行事が行われている。


その主役は舞だった。

久瀬の陰謀で空き教室に監禁されている舞は、夜毎
この行事への参加を希望した生徒や一部教師の慰み者として
無惨な立場に置かれていた。

今も、教室の中央で男たちに囲まれている。

「へへへ、まだまだ締まるな・・またイキそうだぜ」
「それにしても、こいつマグロだなぁ」
「まぁ、でもどんなことしても騒ぎもしねぇから楽でいいぜ」
舞を組み敷いている男たちは口々にそう洩らしながら
飽きることなく舞の体を責め続けていた。

口も顔も乳房も尻も男たちの汚液が何重にもへばりついている。

秘部や肛門からも挿入されている男根が出入りするたびに、前の
男たちが注いだ白濁液がその動きに合わせ尻を伝わる。


既に今晩だけで20人以上の男の欲望が舞を汚していた。

しかし、舞はただ黙っている。

もちろんその裏では苦痛や悔しさ、そして不思議な感覚が絶えず舞を
襲っていたが、決してそれは表情に出すことはなかった。




「やっぱり、黙ってるだけじゃつまんねぇな」
だが、見かねた男は舞をバックから責めはじめ、両手で乳房を激しく掴む。

そして、僅かに固さを帯びた乳首を力を込めて潰すように摘んだ。

「・・・・っ・・・・・・・」
さすがの舞も思わず息を洩らす。

「へへ、反応した反応した」
男は嬉しそうに更に激しく乳首を摘み続ける。
「・・・・・・くぅ・・・・ぅ・・・・・」
舞は歯を食いしばり耐えたが、逆にその情景が男をさらに欲情させ
腰を激しく舞の尻に叩き付け一気に精液を舞の中に放った。


・・・・・・・・・・・
舞は表情にこそ出さなかったが、瞳はすっかり涙に覆われている。


そして要領を得た男たちは、今まで以上に激しく舞を責めはじめた。

髪を無理矢理引っ張ったり、強引に口の中に男根を押し込んだりと
男たちは容赦なく舞を嬲る。
尻を抱えながら、叩かれたり抓られたりもした。

あっという間に舞の乳房や尻は赤くなり、その生々しさが男たちの
欲望を更に掻き立てていく。

「・・・・・・・・うぅ・・・・あがっ・・・・・ぐぅ・・」
「ははは、まさに玩具だなこりゃ」
「まぁ、奴隷だから幾ら甚振ったって構いやしねぇしな」
「今、またたっぷり出してやるぜ」
そう言うと、舞を責めている男たちは次々と精を放ちはじめた。

結合部からは男の竿を伝わり精液が逆流し、舞の口に出した男は
全部出し切らないうちに男根を引き抜き、残りを舞の顔に浴びせる。

「・・・・・・・・あぅ・・・・ぅ・・・・」
すっかり男たちに飲み込まれた舞は、虚ろな瞳を浮かべながら
抵抗することも出来ず、ただただ流されていた。


・・・・・・・こんなことで・・・・・

しかし、それでも舞はただ必死に耐えた。

そして、精液を鼻から滴らせながら舞はゆっくりと視線を部屋の隅に
向ける。


その先では、佐祐理が男たちに囲まれていた。

佐祐理は久瀬に尻を抱えられながら、両手で2本の男根を握り
両方の亀頭に舌を這わせていた。

佐祐理も体中、精液と汗にまみれていた。

「へへ、倉田さんも上手くなったな、もう出ちまいそうだぜ」
亀頭を佐祐理に舐られている男が歓喜の声を上げる。
「あははぁ・・・佐祐理・・・毎日、皆様のオチンポを舐めさせて
いただいてますしぃ・・・皆様に喜んでいただきたいので、必死に
勉強させていただいてますからぁ・・・」
その瞬間も男根を両手で扱きながら、佐祐理は妖しく微笑んだ。

やがて、両方の男はほぼ同時に佐祐理に精液をぶちまける。

「あぁん・・ザーメン・・・あったかい・・・」
佐祐理は2人分の精液を舌で受けると、美味しそうに喉に流し込んだ。
そして、口の端に零れた精液を舌で舐め取りながら、亀頭や竿に流れた
残り汁を勿体無さそうに吸出しはじめる。


「あん・・・やっぱり新鮮で美味しいです・・ザーメン・・・・
こんなに飲ませていただけるなんて・・・佐祐理・・幸せですぅ・・・」
「やっぱり倉田さんのフェラテクの賜物だよ」
「これじゃあ、マンコの具合なんかはもっと凄いんだろうな・・」
男たちは射精の余韻に浸りながら、佐祐理の唾液にまみれた男根を
盛んに彼女の頬に突き立て酔っていた。


久瀬はその様子を見ながら勝ち誇っている。

そして、佐祐理の尻を抱えながら彼女に話しかけた。

「佐祐理は口だけではなくマンコも逸品だからな」
「はぇぇ・・・お褒めいただき光栄ですぅ・・佐祐理も御主人様の
逞しいオチンポでマンコを責めていただき、幸せに思ってますぅ・・」
佐祐理は心底嬉しそうに更に尻を突き上げる。

媚肉から蜜が溢れ床に滴り落ちた。

「佐祐理のマンコ・・堪能していただけてますか?」
「ああ、しっかりとな・・・では褒美をくれてやるか」
そして久瀬も、佐祐理の秘肉を激しく抉ると、奥まで届かせるように
腰を揺すり精液を送り込む。

「はぁあん・・・嬉しいですぅぅ・・・・あぁぁ・・・ぁん・・
御主人様の熱いのが・・佐祐理のお腹に流れてますぅ・・・・・」
佐祐理は更に大きな声で善がりながら、自らも腰を震わせた。

「さすがは佐祐理だ、一滴も残さず搾り取られそうだ」
「当然ですぅ、御主人様のオチンポにザーメン残してしまったら、佐祐理・・
罰が当ってしまいますよぉ」
佐祐理には既に躊躇いや恥じらいなどと言う心はなかった。

ただ、自らの性欲に正直で男たちの欲望をとことんまで満たすだけの
肉奴隷に成り下がっていた。

しかも、佐祐理はその身分を自然に受け入れている。



すると、その時、そんな佐祐理の淫猥な姿勢に堪りかねた男が久瀬に嘆願した。

「会長・・俺達にも倉田さんのマンコ使わせて下さいよ」
既に佐祐理の口に3回ほど射精をしていたが、その男根は治まる様子もなく
高々と天を突いている。

「今はまだダメだ、お前たちの子を孕んでしまっては、後々、
何かと厄介だからな。妊娠が確認された時点でお前たちにも
使わせてやる、それまで待つのだ」
しかし、再び佐祐理の子宮を突き上げながら久瀬は事務的な言い方で
男の言い分を退けた。

「わかりました・・早いトコ倉田さんに会長の子を身篭ってもらうしかないか」
男は残念そうに呟いたが、再び佐祐理の唇に男根を突き付ける。

「佐祐理・・早く御主人様のお子様・・産めるように頑張りますよ・・・
ですから・・・・今はお口で我慢して下さいね・・・」
佐祐理はその怒張を優しく握ると、笑顔で男を見上げた。



・・・・・・・・佐祐理・・・・・・・
舞はそのやり取りを薄れはじめた意識の中で見つめている。

とても悲しい気分になった。


・・・・・もう眠ってしまおう・・・・・
そして、その気分を掻き消すように舞は体の力を抜いていく。

ゆっくりと頭の中に闇が広がって行った。

しかし、その瞬間、舞の中に一つの気配が走った。

・・・・・・・・・魔物・・・・・・・?



男たちの声や自らの体の苦痛に遮られて、捉えにくくはなっていたものの
その存在は確かに近くにいた。

そして、その気配はこの教室を目指している。

「くっ・・・・・」
舞の目に完全に生気が戻った。

組み敷いている男たちを一気に払いのけると、舞は全速力で教室の出口を
目指す。そして、入り口の横に立てかけてあったモップを手に取ると扉を
開け廊下に飛び出た。

そのまま迫り来る1体の魔物に向かって距離を詰める。

後からは、予想外の事態に蜂の巣を突付いたように男たちが舞を追った。
しかし、その時彼らの背後には別の魔物が待ち構えていたのだ。


「うぎゃぁ・・・・・ぁ・・・」
「ひぃぃぃ・・・・・」
すぐに廊下は男たちの悲鳴に包まれた。

だが、舞はそんな様子など微塵にも気を留めず、ただ正面を見据えた。

魔物は既に彼女の頭上まで近寄ってきている。そして、急降下をはじめるが
舞はその動きにタイミングを合わせモップを突き上げる。

・・・ガシュ・・

鈍い音と衝撃が走り、モップは粉々になった。

そして、舞も床に叩きつけられたが、すぐさま起き上がり魔物の位置を探る。

魔物は丸腰になった舞の背後に回っていた。

「・・くっ・・・・」
舞はすぐさま前に走り出し、廊下に備え付けられている消火器を掴むと
そのまま振り返り、魔物めがけて放り投げた。

・・・・・ガッ・・・・・・・

それは見事に命中する、しかし如何せん魔物を仕留めるほどの威力では
なかった。


凹んで床に転がった消火器を見て、舞は為すすべなく顔を伏せる。


だが、その瞬間、魔物の気配は消えていた。


「・・・・・助かった・・のか・・」
舞は小さく安堵の息を漏らした。


「・・・・・あ・・・・・佐祐理・・・・・・・?」
しかし、脳裏に佐祐理の顔が浮かぶと舞は休む間もなく駆け出すと、
先ほどの教室に戻った。


「・・・・・・・・・・・・・」

そこは無惨な場所に変わっていた。

教室に面する窓ガラスはことごとく砕け散り、リノリウムの廊下では
あちこちで男たちが恐怖に顔を歪めたまま絶命している。

頭が陥没しているものや、足や腕の骨が跡形もなく砕けている者も居た。

あとの者は逃げ出したのだろう、教室の中も不気味なほどに静寂を
取り戻している。


「・・・・・・・・・・・・」
しかし、佐祐理だけは部屋の隅に佇んでいた。
佐祐理はただ、焦点の合わない目でぼんやり前を見ている。


「・・・・佐祐理・・・・・」
舞は佐祐理の傍に寄ると、少し戸惑いながら声をかけた。

「あ・・舞・・・みんなどうしちゃったの・・?」
「・・・・・・・・・・・・」
「ねぇ・・舞どうしたの?・・・・・佐祐理・・・もっと男の方の
チンポが欲しいんだけど・・・・・」
佐祐理は舞を目の当たりにしても、全く動揺の色を見せる事なく
ただ欲望を曝け出していた。


舞は唇を噛み締める。

・・・パチィン・・・・

そして、舞は佐祐理の頬を力いっぱい平手打ちした。

「・・・・・え・・?・・・舞・・・」
佐祐理は呆気に取られた顔で舞を見上げる。


「佐祐理・・・・目を覚ませ・・・・」
舞は静かに呟いた。
怒気よりも悲しみの篭もった声だった。


しかし、佐祐理はそのまま無言で顔を伏せる。



だが、暫くして涙の滲んだ声で話しはじめた。

「・・・・だって・・・佐祐理・・・もう戻れないよ・・・・・
舞だって・・・こんな目に逢っちゃったし・・・・・・元はと言えば
・・・私が悪いんだよ・・・・・私が弱いから・・・・・・・・
それに・・・私は・・・・・やっぱり今も・・・上から自分を見てた・・
・・だから・・・・・こんなになっても・・・何にも悔しくなかった・・
・・・・佐祐理は・・・・もうダメだよ・・・・・」
床に次々と涙の粒が落ちた。

手は何かを掴むように固く握りしめられている。



舞はそんな佐祐理の頭をそっと撫ぜた。

「・・・・・・・・・・・・・・??」
佐祐理は思わず舞を見上げる。

「・・・ダメじゃない・・・佐祐理には私がついてる・・・・・
それに・・・私は佐祐理が悪いとは思ってない・・・・」

佐祐理の肩が小さくわなないた。

舞は続けた。
「私が耐えられたのだって・・・・佐祐理が居たから・・・・」


その言葉に佐祐理は更に体を震わせる。そして、
「・・くぅぅ・・・ぅぅ・・・・舞ぃぃぃ・・・・・・ぃぃぃぃぃ」
堰を切ったように大きな声を上げると、嗚咽を洩らしながら舞に抱きついた。


舞も佐祐理をしっかり受け止めた。

佐祐理はただ泣き続けた、どのくらいの時間が経ったか分からない、
それでもひたすら大声で泣いた。

舞はただ黙って頷く。

お互い裸だったが、そんなことは気にもならなかった。


そして、佐祐理は泣き疲れたのか、そのまま舞の腕の中で眠りについた。

その顔は舞が知りうる佐祐理の安らかな表情だった。

舞はその親友を抱えると保健室に運びベッドに寝かせる。


「・・・・もう・・・大丈夫・・・・・・」
眠っている佐祐理にそう静かに声をかけると舞は保健室を出て、
生徒会室に向かった。

そして、保管されていた剣を手に取り、その部屋のカーテンを体に纏うと、
学校を後にする。


「・・・・すぐに行くから・・・・・」

舞はゆっくりと歩きはじめた。






* * * *




俺は何をしてるんだろう・・・

どうしてこうなったんだっけ・・・・・?



祐一は頭から離れない秋子の残像に怯えながら、ひたすら
自問自答を続けていた。

そして、獣道をただひたすら歩き続ける。

約束の場所に赴くために。




だが、何度となく足を運んでいる道だったが、今日ほど遠く感じた
ことはなかった。


一生辿り着けないんじゃないのか・・・・?

そんな不安にまで祐一は苛まれる。

しかし、ようやく肩で息をしながら祐一はようやく切り株のある広い空間に
辿り着いた。

照明一つないその場所は、ただ無言で祐一を出迎える。


「・・・・・あゆ・・・・・どこに居るんだ・・・・?」
祐一は不安な面持ちであちこちを見渡し、彼女の名前を呼んだ。


雪が再び舞いはじめる。

「あゆぅ・・・出てきてくれよ・・・・俺はお前との約束・・・
果たしたんだから・・・よぉ・・・・」
祐一は何かにすがるような情けない声を上げ切り株に両手をつく。


その時だった。

「・・・・・祐一君・・・・」
深い闇の奥から、穏やかな声が響く。

祐一は咄嗟に顔を上げた。

だんだんと強くなってくる雪に祝福されるように、あゆは姿を見せる。

「・・あゆ・・・良かった・・居ないと思った・・・」
祐一は胸を撫で下ろし、あゆの元へ駆け寄った。

「ボクは居なくなるはずないよ、だって・・祐一君ちゃんと約束・・
守ってくれたからね・・・」
あゆはにっこり微笑みを浮かべる。

それを見て、祐一は少しだけ救われた気分になれた。

そして、2人はゆっくりと体を寄せ合う。


・・・・そうだ・・・・俺にはあゆが居れば良かったんだ・・・・
・・・どうして・・・こんな大事なことを忘れてたんだ・・・・
祐一は改めてあゆの存在が自分にとって如何に大きいものであるかを
痛感していた。

・・・・ゴメンな・・・・あゆ・・・

あゆの背中に回している手に一層、力がこもる。



その時、あゆは祐一の耳元で小さく囁いた。

「・・・でもね・・最後にもう一つだけ・・
祐一君に・・本当に叶えて欲しい事があるんだよ・・」

「ん・・?それは・・何だ?俺は・・その望みが何であっても
絶対・・叶えてやるよ・・」
あゆの体温を感じながら、祐一は心底あゆの願いを叶えたい
と思った。

「えへっ」
そして、あゆは最後の望みを口にする。


「それはね・・祐一君が死んでくれる事だよ」


その言葉とともに、祐一の腹部に激痛が走った。

「・・・・・・っつ・・・・・・」
祐一の腹部は真っ赤に染まっていた。
その中央にはナイフが突き立てられていて、柄はしっかりと
あゆが握っている。

「・・・・・くっ・・・・ど・・どうして・・・」
祐一はあゆを突き放すと、刺された脇腹を押さえ、
膝を突きながらあゆを見上げた。


あゆは表情一つ変えずに話しはじめた。
「どうしてって・・ボクは祐一君が憎かっただけだからだよ・・・・
だって・・・あの時・・・・苦しんでるボクを見捨てたよね・・・・
それに・・その事すら忘れてしまってるんだから・・・・・・」

「その時のボクの気持ちなんてわからないよね・・・・・・」

「・・・だからね・・・ボクは祐一君を取り巻く人を・・・・
祐一君自らの手でズタズタにさせたんだよ・・・」

予想だにしなかった真実があゆの口から次々と発せられた。
しかも、終始あゆの表情に変化はない。

「でもね・・・予想外だったのは、そのことで・・・祐一君が
全く堪えなかったって事だよ・・・・」

「だけどね・・・・それで全てが解ったんだ・・・
祐一君の本当の姿が・・・・だからこそ、ボクを・・・
平然と見捨てる事が出来たんだ・・って事も」
少し言葉に力が篭もっていたが、あゆは笑顔で話しつづけた。


その時、祐一は全てを思い出した。


・・・・・そうだ・・・・・・
あの時・・・・あゆがここにあった大木から落ちた時の事・・

俺は・・・・何も出来なかったんじゃなかった・・
何もしなかったんだ・・・・・

祐一は木から落ちたあゆを見守りながら、彼女の苦しむ姿を見て
ただただ興奮していたのだった。


「・・・・・・・・くぅぅ・・・・ぅぅ・・・・・」
祐一は振りかえると、血を流している腹を押さえながら。
必死に走りはじめた。


あゆから逃げる為・・・全てから逃げる為・・・・


「・・・はぁ・・・はぁ・・・ぁぁぁぁ・・・ぁぁぁぁ・・・」

・・・・・・・これが現実なのか・・・・

ただ、あゆの事だけを想い墜ちたはずだったのに・・・

・・・・それは俺の妄想だったのか・・・・・・・

信じるものを失った祐一は、ただただ恐くなった。



その時、あゆは山を駆け下りて行く祐一の姿を見ながら思った。


・・・祐一君が望めば・・願いは叶うよね・・・・?


・・・・・最後の願い・・・叶えて下さい・・・・



そうすれば・・ボクも消えられるから・・・・・・・




・・・・・ゼェ・・・ゼェ・・・・・・

祐一は血の跡を延々と残しながら、ただひたすら走り続けていた。

頭の中では、今まで自分のやったことが渦巻きはじめ、
恐怖と絶望のあまり、ただ懺悔の念を浮かべている。


・・・・・・名雪・・秋子さん・・・香里・・北川・・・・
・・・・栞・・・佐祐理さん・・舞・・・そして・・・あゆ・・・・

・・・・俺はどうしたらいいんだ・・・
・・・・・・何でもするから・・・許してくれぇ・・・・・



「・・・・・・・・・・・・・!?」 
見開いた視線の先に1人の少女の姿があった。

祐一は咄嗟の出来事に驚き、バランスを崩してその場に倒れ込む。

再び起き上がろうとしたが、既に体力は限界であった。


そして、雪を踏みしめ近寄ってくる少女を恐る恐る見上げた。

「・・・・・・・ひぃ・・・・・・・」
それは舞だった。

舞は纏っていたカーテンのようなものを脱ぎ捨てると
更に祐一の目の前に迫ってくる。

彼女は、その下には何も身につけておらず、細身の長剣だけを構え、
ただその場にうずくまる祐一を睨みつけていた。

髪や顔、それに乳房や股間には大量の精液がこびり付いているが、
舞はそんなことは気にも留めていない。

そして、何も言わずゆっくりと剣を構えた。


「・・・・待って・・くれぇ・・・・!!」
祐一は動かない体を必死に揺すり叫ぶ。



しかし、舞は意に介さず剣を振り下ろした。



・・・・・・・さようなら・・・・・・・・


そして、新雪が赤く染まる。





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