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■ささやかな願い■








エピローグ





…今日も雪が降っていました…

…でも、季節が変われば…この光景は…また来年までお預け…

…永遠なんてないんです…



…だけど…私は…それを手に入れてしまった…

…この先…何が待ちかまえているかもわからない…



…永遠という名の恐怖を…









 栞は布団に潜っていた。

 あれからどのくらい経ったのかはわからない。

 でも、この場所から動く気にはなれなかった。

 何度か両親が部屋をノックしていたが、彼女はやんわりと部屋から出る事を拒否する。

 もちろん、いつかはここから出なければいけないのはわかっていた。

 だが、それがなるべく後になって欲しい…栞はそう思うのだった。

 それは、姉と顔を会わせたくないからに他ならない。

 ほんの少し前までは、全く逆の展開だった。
 
 栞はそっと布団から顔を出すと、窓越しに見える空を見上げた。

 そこは漆黒の闇に包まれており、その先から純白の雪が深々と降り注いでいる。

 それを見るだけで、栞は切なかった。

 本来、もう自分はここにいるべき人間ではないのだ。

 しかし、彼女自らの過ちにより、こうして生かされている。

 死ぬ事は叶わない。

 自らを捨てる勇気はもうとっくに折れていた。





 翌朝。

 再びドアを母親が叩いている。

「今は…出たくないです…」

「それに身体の方は…もう大丈夫みたい…」

 ドア越しに栞はそう答えた。

 事実、先日まで彼女を蝕んでいた微熱や悪寒は嘘のように消え去っている。

 まだ健康だった子供の頃と何ら変わらず。

 母親もさすがに粘ったが、栞は彼女が出勤する時間まで頑なに拒み続けた。

「…わかったは、それじゃあおかあさんが戻ってくるまではそこにいてもいいわ…」

「その代わり…帰ってきたら、必ず開けて貰うからね」

 どことなく悲しそうな母の声に、栞は悲痛の思いを感じる。

 もちろん、すぐにでもドアを開けたくて堪らなかった。

 開けて母に思い切り抱きつきたかった。

 だが、この扉を開けてしまえば…母と会えるだけでなく、姉とも顔を会わせなくてはいけない…。

 栞にはどうしてもそれを許容する事が出来なかった。

 再び静寂が訪れる。

 さすがに姉も学校に行っているのだろう。

 そこで何をしているかは、想像したくなかったが。



…お腹…すいたな…

 暫くすると、栞を空腹感が包んでいく。

 どうやら、病魔が消え、彼女にも真っ当な食欲が戻ってきていたのだ。

 元々、栞は小食だった。

 だが、さすがにここ2日ほど、何も口にしていないのだ。

 ある意味、当然の衝動であろう。

 そして、もう一つ、彼女をある生理現象が襲った。

 それは小水である。

 当然、栞の部屋には便所などはない。

…今なら…大丈夫だよね…?

 彼女は静まりかえったドアの向こうに耳を澄ますと、そっと鍵を外すとドアを開けた。

 外にはもちろん人の姿はない。

 彼女は、ゆっくりと階段を下りはじめた。

 しかし…

「…えっ………」

 階段の途中まで来た栞は階下に人が立っているのに気づく。

 よく見知った男。

 そう、それは祐一だった。

「…よ、よぉ…し、栞…」

 彼は酷く虚ろな顔を浮かべながら、今にも途切れそうな声で彼女の名前を呼ぶ。

 明らかに普通ではなかった。

……祐一さん…

 栞はそんな祐一に得体の知れない恐怖感を抱く。

 同時に、足は階段を一歩昇っていた。

…ダッ

 そして、不意に身体を返すと、一気に階段を駆け上がる。

 背後から追ってくる様子はなかった。

 それを祐一は呆然として見送っている。

…よかった…逃げ切れる…

 栞は階段の一番上まで辿り着くと、部屋に戻れる事を確信した。



 しかし、その喜びは一瞬の事に過ぎない。

…どんっ…

「…痛っ……!?」
 
 そう、栞は何かにぶつかったのだ。

 それは何か柔らかいものだった。

 しかも、微かだが鼻先に温もりを感じる事が出来た。

…ま、まさか…

 栞は恐る恐る顔を上げてみる。

「…お…お姉…ちゃん…」

 そこには姉の香里が立っていた。

「栞…ようやく会えたわね…」

 香里はそう言うと笑みを浮かべる。

 だが、それは栞が知っている姉の顔ではなかった。

 目の下にはクマができており、その笑みはどことなく品がない。

 しかも、彼女はブラジャーだけしか身に付けておらず、下半身剥き出しの格好だった。

 股間をべっとりと愛液で濡らしながら。

「………そ…そんな…」

 栞はあまりの驚きで腰が抜けてしまい、動く事は叶わなかった。

 前方と背後には、かつて栞にとって大事な存在だった者たちが、まるで別の人間であるかのように立ちはだかっている。

 もちろん…そうさせてしまったのは彼女本人に他ならないのだが…。

「栞…」

「し、栞ぃ…」

 二人はまるでゾンビのように、栞に迫ってくる。

「…いや…来ないで…」

「来ないでぇぇぇぇぇ!!」

 数秒後。

 家には彼女の叫び声がこだましていた。






 

 栞は二人に抱えられると、有無を言わせず香里の部屋に連れ込まれる。

「…いやぁぁ…離してぇ…」

 栞は必死に抵抗を繰り返した。

 だが、既に理性が消えていた姉もその友人も、強引に栞を抱え決して離そうとはしない。

 腕や足には容赦なく手が食い込み、爪が刺さって血が出ている部分すらあった。

 そして、栞は香里のベッドに放り投げられると、すぐに祐一が飛びかかってくる。

「…はぁ…はぁ…栞ぃ…」

「俺と…セックス…しようぜぇ…」

 彼は目が充血で真っ赤になっており、その顔にはかつての真面目さはどこにもなかった。

 股間は不気味に膨れあがり、その先端ははっきりと湿っている。

「…や…止めて下さい…祐一…さん…」

 栞は目を白黒させて祐一を拒んだ。

 しかし、男の力に勝てるはずもない。

 彼女は両手交差させるように押さえつけられると、彼は胸の部分に顔を埋めてきた。

 栞の乳房はとても大きいものとはいえなかったが、それでも触られれば反応してしまう。

 もちろん、快感にはほど遠いものではあるが、じっとしていられる衝撃でもなかった。

「いやぁぁ…ぁ…」

 栞は何度も首を横に振って拒んだ。

 だが、それは祐一の耳には届いていないようだ。

 彼は栞の手を押さえつけたまま、余った手で自らのベルトを外している。

 すぐにおぞましい男根が姿を見せた。

 栞によって女を知ったその男根は、その姉により熟成させられ、不気味なほどに黒ずんでいる。

 しかも、先端からはドロドロと粘液が垂れ、彼が動くたびにその雫は栞の太股に飛び散りはじめた。

「…うぅ…っ…やめてぇ…」

 彼女は激しく嫌がりながらも、後悔の念が身体を包んでいる。

 そして…彼を陥れた公衆便所での出来事を思い出した。

 今考えると、どうしてあんな行動に出てしまったのか、自分でも理解出来ない。

 だが、祐一がこうなってしまったのは、紛れもなく栞の責任なのだ。

 その点は、どう擁護しようとしても逃れようはない。

 そうこうしているうちに、祐一は彼女のスカートを捲り上げていた。

 剥き出しになる栞のショーツ。

 それは子供が身に付けるような、ワンポイントの入った可愛い柄物である。

 しかし、祐一はそんなものに感銘を受ける事もなく、力いっぱいショーツをずらすとその奥の花弁を剥き出しにした。

 ひんやりとした感触が彼女を襲うが、それを感じる暇もなく、今度は祐一の男根が襲いかかってくる。

「…ひぃぃぃ!?…い、痛ぃぃい!!」

 栞の秘部は全く濡れていなかった。

 そこに強引に男根をねじ込まれるのだ。

 痛くない訳はなかった。

 だが、決して祐一は動きを止める事はない。

 まるで栞など見えてはいかいかのように、奥へ奥へと進んでくる。

「あぁ…栞の中に入ってるよぉ…」

 彼は上ずった声を上げながら、栞の中へと完全に男根を埋めた。

 そして、覆い被さるように身体までをも密着させてくる。

「…あはぁ…ぁ…お…重い…です…ぅ…」

 栞を秘部の痛みと圧迫感が襲った。

 しかも、彼の体重は、栞が忘れていたもう一つの感覚を呼び起こす。

 そう、それは尿意に他ならなかった。

 祐一が男根を出し入れするたびに、彼の腹が栞の腹を圧迫しているのだ。

 それにより、ただでさえシグナルを発していた膀胱が、今にも爆発しそうになっている。

「…ああぁぁ…祐一さん…ダメぇ…」

「はぁ…はぁ…あぁん?何がダメなんだぁ?栞ぃ?」 

「…お、おしっこが…おしっこが…漏れちゃうのぉ…」

 栞には言葉を選んでいる余裕はなかった。

 しきりにその事実を告げると解放を促す。

「…なんだ…ションベンぐらい…ここで漏らせよ」

「そうよ、我慢は身体に毒よ?栞」

 しかし、彼はおろか、姉の言葉までもが非情なものだった。

 もちろん、祐一の動きも衰える事はない。

 そればかりか、だんだんと勢いを増しているのだ。

…ダメぇ…ダメなの…ぉ…!!

 既に我慢は限界を超えていた。

 そして、程なくその張り詰めた糸がぷっつりと切れる。

…びちゃぁぁぁぁ…じゅろろろろぉ…

 すると、勢いよく栞の股間からは小便が吹き出しはじめた。

 それは、祐一の身体や男根を濡らしながら、ベッドへと染みこんでいく。

 すぐに生臭い匂いが漂いはじめた。

…そ…そんな…

…うう…止まらない…

 栞は絶望に似た恥辱を味わいながら目を閉じる。

 自然と涙が溢れてきているのがわかった。

 だが、放尿自体を止める事は出来ない。

 それは、最後の一滴まで外に流れ出ていった。

「…ふふっ…お仕置きしてあげるわね、栞」

 すると、それを待っていたかのように香里がベッドの上に上がってくる。

「……ぇ…っ……、ひぃ!?」

 栞は姉の姿を見て、短い悲鳴を上げた。

 姉はいつしかディルドーを装着していたのだ。

 それは、紛れもなく栞があゆを犯したものであった。

 香里は、そんな栞の気持ちを察する事もなく、彼女の顔を跨ぐと腰を下ろす。

「……ふぐぅ…ぅう…」

 栞の顔面に、香里の尻が覆い被さってきた。

 それは栞の中にある姉のイメージには存在しない悪臭を放っており、ディルドーが食い込んでいる秘部には白い汚れがあちこちにこびり付いている。

 その秘部を香里は妹の口に押し付けてくるのだ。

「………うううぅっ…ふぁぁ…」

…や…やめて…お姉ちゃん…

…もう…やめて…!!

 言葉の出ない栞は、心の中で何度も叫ぶ。

 しかし、決してその願いが通じる事はなかった。

「はぁ…はぁ…相沢君…はやく終わらせて…よね」

「私が…栞を可愛がってあげるんだから…」

 場末の娼婦のようなすれた声。

「はぁ…はぁ…もうちょっと…待ってろよ…」

「んもぉ…私のケツの穴にでも入れればいいじゃない…」

 もう、そこにはかつていた姉の姿はなかった。

…お姉ちゃん…

 栞は自らの心が閉ざされていくを感じていた。

 奇跡によって命を長らえた時…。

 自らに戻る場所は残っていなかったのだ。

 自分の愚かな願いにより。

…ごめんなさい…

…お姉ちゃん…

…祐一さん…

…名雪さん…

…あゆさん…

…ごめんなさい…

…ごめんなさい…

 栞は自らが貶めてしまった人々に、何度も何度も謝罪を繰り返した。

 だが…自分を含めて、これらの人間が幸せを取り戻す事はもうないのだ。



…そして…さようなら…

……私…




 こうして、栞は完全に心を閉ざした。

 姉たちと同じようになれる事を願いながら。

 



FIN