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■恋心■

 

 

 


            





その事実を知ったのは翌朝だった。

「…う…嘘…」

乃絵美は電話連絡でその事実を知り、背筋が凍りつく。

それは、同じ学校の教師が運転するマイクロバスが谷から転落し、その教師と生徒50人が
全員死亡した。と言うものだった。

言うまでもなく、乃絵美と体を重ねた面々である。

何度も同じ光景が彼女の頭をよぎった。

…長沢さん…

そして、電話口の女子生徒の声など耳に入る事なく、乃絵美は立ち尽くしていた。

…うそ……ぅぅぅぅ…

いつしか乃絵美はその場に泣き崩れ、意識が続く限り泣き続ける。

こうして、乃絵美は数日間ベッドから出る事もなく、ただ失意に耽っていた。

「乃絵美…元気出せよ」

目が覚めると、枕元には兄・正樹の姿があった。

いつものように、優しそうな眼差しで乃絵美を見ている。

「…うん…」

しかし、乃絵美は小さくそう言うと、ベッドの中に潜り込んだ。

正樹は静かに部屋を後にする。

…お兄ちゃんには…わかってくれないよ…

乃絵美は心の中でそう呟きながら、目を閉じた。




それから、また数日が過ぎる。

だが、この頃から、乃絵美の心は変調をきたしていた。

最初は目を閉じると純一の顔や、彼との会話のみが頭を過ぎっていたが、最近は別の光景が
思い浮かぶようになっている。

そう、それは男根だった。

…ちんぽ…

乃絵美は無意識にそう呟いている。

そして、それを裏付けるように尻は激しく疼き、秘部からは止め処なく愛液が漏れはじめた。

何度、自慰に耽っても、その感情は収まる事はない。

そればかりか、それにより欲情を掻き立てられ、思いは一層強くなった。

「…チンポ…チンポが欲しい…。乃絵美のケツの穴…いっぱい穿って欲しい…うぅ…」

乃絵美は気が狂いそうな感情に襲われる。

そして、ある日、その欲望を抑える事が出来なかった。

乃絵美は深夜、ベッドから起き上がると、ゆっくりと部屋を出る。

向かったのは兄の部屋だった。

既に彼は熟睡しており、部屋は真っ暗闇に覆われている。

しかし、乃絵美は静かに部屋に入ると電気を点けた。

そして、正樹の布団を剥ぐと、妖しい手つきでズボンを引き下ろす。

だが、まだ彼は気がついていなかった。

「チンポ…」

乃絵美はうわ言のように呟くと、今度は彼のトランクスに手をかける。

「…汚くないんだ…。ダメだなお兄ちゃん…」

そして、清潔なトランクスに文句を言いながら、その中の物体をさらけ出した。

だが、次の瞬間、乃絵美は目を丸くする。

「いやぁぁぁ…!!」

そして、まるで悪夢でも見ているかのように、大声で叫んだ。

「…な、なんだ…??ぅお!の、乃絵美…、な、何してんだ…!????」

その声で目が覚めた正樹は、妹の行為に驚き仰け反る。

「お兄ちゃん…チンポ変だよ…病院行かないと…」

しかし、乃絵美はトランクスの端を掴んだまま、虚ろな目で正樹を見た。

「何があったの…??え?乃絵美!?何してるの?」

だが、すぐに母親が部屋に現れる。

もちろん、彼女も乃絵美の行動に戸惑いは隠せない。

しかも、乃絵美の次の発言で、部屋は更に混乱に陥る。

「チンポ…欲しかったから…」

「のえみ…?」

「な、何言ってるんだお前??」

こうして、大騒ぎの中で伊藤家の夜は更けていった。

そして、これから乃絵美の行動は歯止めが利かなくなる。





「乃絵美!何してるの!?」

翌朝も母親の大声からはじまった。

乃絵美は全裸でキッチンのテーブルに上がると、しゃがみながら自慰に耽っている。

それは、想像もつかないほど淫靡な姿だった。

「乃絵美…いやらしいでしょ?」

だが、乃絵美は恥らう事もせず、笑顔で母親に声を返した。

しかし、既に母親は卒倒しており、反応するものはいない。

「あぁ…ぁん……、あれ?お母さん?…うーん。残念…チンポ貰えると思ったのに…」

乃絵美は軽く気をやると、倒れている母親を見た。

しかし、そのまま母を気遣う事もなく便所に向かう。

便所では便器の中で髪を洗い、次にそこを舌で掃除した。

全て男たちの反応が良かった行為である。

そして、部屋に戻るといつもの日課をはじめた。

「…今日は…3.2センチか…、小さくなってる…」

鏡に向かいながら大股を開き、ノギスで肛門のサイズを測る乃絵美。

いつものような恥らいは、今日はなかった。

そして、ある事に気がつく。

「あ、もう…店開いてるよね?」

乃絵美はふと思い立つと、ロムレットの制服を着込み、そのまま店に下りた。

「ん?乃絵美…お前…!?」

そこでは正樹が朝のピークに追われていたが、乃絵美の異様な出で立ちに目を丸くする。

彼女は髪を汚らしく濡らし、薄汚れた制服に袖を通している。

どう見ても、尋常ではなかった。

しかし、乃絵美は笑顔で正樹に語りかける。

「大丈夫だよ…お兄ちゃん…」

「だ、大丈夫って??」

「お兄ちゃんのチンポ…普通じゃないから、もういいの。だから私、ここでお客さんの
チンポを貰うんだ…」

「…なっ…??」

そして、乃絵美はそう言うとスカートをたくし上げた。

もちろん、その中には下着など身に着けてはおらず、剥き出しの下半身が正樹の目に映る。

愛液に染まった薄い恥毛の隙間からは、はっきりと秘部を捉える事が出来た。

「の、乃絵美!!」

正樹は必死に止めようとしたが、乃絵美はそれを振り切り店内に足を運ぶ。

一斉に客の視線が乃絵美に集まった。

「いらっしゃいませ…。お客さま…乃絵美のケツは如何ですか…?」



数日後。

その日から、店は無期限で閉鎖されていた。

ドアには「臨時休業」と殴り書きされた張り紙が張られている。

そして、居間では乃絵美のこれからを考える家族会議が延々と続いていた。

…プルルル…

その時、電話が無機質な音を響かせる。

正樹がそっと受話器を上げた。

「はい、伊藤ですが?」

「ケツは俺が買うぜ、幾らだ?」

「うるせぇ!」

…ガチャ…

…プルルル…

再び電話が鳴りはじめる。

あの日以来、同じ内容の電話が、不特定多数の人間から昼も夜もお構いなしに続いていた。

「…もう…やめて…」

母親は顔を覆い、その場にうずくまる。

娘の惨状と合わせ、半ばノイローゼに陥っていた。

「かあさん…」

正樹は心配そうに母を見る。

彼も連日連夜の嫌がらせや、乃絵美の世話に限界は近かった。

そして、正樹は母をなだめると、2階の乃絵美の部屋に向かう。

食事を与えるためだった。

「…乃絵美…」

だが、部屋に入るなり、正樹は頭を抱えたくなる。

乃絵美は彼の手によってベッドにロープで括りつけられていた。

しかし、いつの間にか無理やり履かせたショーツは脱ぎ捨てられており、彼女は必死に足で
自慰に励んでいる。

「はぁ…ぁ…お兄ちゃん…。やっぱり乃絵美…生チンポじゃないと…ダメだよ…」

乃絵美は切ない表情で正樹を見た。

その顔はかっての美麗な面影はない。

ただの欲に溺れた淫売に他ならなかった。

その時、正樹の脳裏を激しい欲望が走る。

「…乃絵美…」

今も、悩ましく踝で秘部を擦りあげている妹。

そして、彼は悪魔の誘惑に負けた。

「…許してくれ…」


正樹は乃絵美の耳元で静かに呟くと、ズボンを下ろしながら覆い被さる。

そして、既に勃起していた男根を濡れた秘部に宛がった。

だが、その時、乃絵美は叫ぶ。

「だ、だめぇ…。ケツぅ…ケツの穴じゃなきゃダメなの…」

乃絵美はあられもなく叫んだ。

「………」

そして、兄は妹の願いどおり、男根を肛門に移動させると、ゆっくりと挿入していく。

だが、驚くほど簡単に、亀頭は肛門の肉をめくり上げ、すぐに腸内へ達した。

乃絵美の腸の熱が、正樹の脳を溶かす。

控え目になど出来なかった。

そして、正樹は荒々しく動きはじめる。

「ぁあ…これ…これなの…ケツ…いい…いいのぉ…」

乃絵美は満面の笑みを浮かべながら、自らも腰を振った。

結合部はいやらしい音を奏でる。

「乃絵美…」

「はぁぁぁ…お兄ちゃんのチンポもすごぃぃ……」

兄妹の卑猥な交わりは続いていった。

「ぁぁ…乃絵美ぃ…!!」

そして、正樹は全てをぶつけるように乃絵美の腸に精液をぶちまける。

何かが切れた瞬間だった。

乃絵美も、正樹の体温を感じながら、絶頂を迎える。

そして、そのまま眠りについた。


その日の夜。正樹は一人机に向かいながら悩んでいた。

「…このままじゃ…」

彼は自らの行為を悔やみながらも、再び過ちを犯してしまう自分がいる事に気がついている。

だが、その時、彼のパソコンが1通のメールを受信した。

…そうか…

…これが本当なら…

乃絵美には申し訳ないけどな…

そして、正樹はそのメールに目を通すと、吹っ切れたように眠りについた。


翌日、正樹は朝早くから家を空けた。

乃絵美は朝食に混ぜられた睡眠薬でよく眠っている。

母親はただ怯えながらベッドに篭っていた。

そして、夕方近くに正樹は帰宅し、母を乃絵美の部屋に呼んだ。

彼女も目が覚め、慌しく集まってきた二人を不思議そうに見ている。

「…どうしたの?チンポ見つかった?」

乃絵美は真顔で的外れな言葉を口にした。

母親の顔が歪む。

だが、正樹は母の手を握ると、意外な台詞を発した。

「そうだ。見つかったぞ」

二人に対照的な衝撃が走る。

「…ど、どういう事!?」

「かあさん…事情は後で説明するから、今は落ち着いて」

「チンポ見つかったんだ。ねぇ、お兄ちゃん…いっぱいある?皮被ってる?」

乃絵美は目を輝かせて、正樹に尋ねた。

「いっぱいあるかはわからない。でも、皮は被ってるそうだ」

「わ〜い」

彼女はまるで赤子のように幼稚な声を上げる。

正樹は少し悲しかった。

だが、感情を押し殺すと続ける。

「乃絵美、実はな、お前を引き取りたいって人が現れたんだ。もちろん、そんなやましい
理由じゃなく、ただ、働き手が欲しいそうなんだ」

「働くって…どんな??」

母親が再び口を挟む。

「何でも身の回りの世話らしい」

「でも、それって…」

「それはわからない。でも、その人は絶対乃絵美に酷い事はしないと言ってる。それに
乃絵美が戻りたくなったら、いつでも帰すとも言った」

正樹は自分に言い聞かせるように母を諭した。

「だから、乃絵美が行っていいと言うのであれば、俺はその方がいいと思う…」

「………」

母は何も答えない。

部屋に沈黙が流れた。

「行く。わたし行くよ」

だが、次の瞬間、乃絵美は静かに口を開く。

彼女がどんな心境なのかは二人には掴みかねたが、少なくとも躊躇いは見えなかった。

「わかった…、じゃあ明日迎えに来るそうだ」

そして、正樹は既にこの答えが決まっていたように、乃絵美に期日を伝える。

…また…前の生活に戻れる…

乃絵美はそれだけが嬉しかった。



翌朝、人の目を避けるように黒塗りのワゴンが伊藤家の玄関に止まった。

そして、乃絵美が母と正樹に手を引かれ、家から姿を見せる。

そこには初老の男が立っていた。

「おはようございます。ご主人様の命を受けて着ました加納と申します」

「はじめまして…。これが妹の乃絵美です」

「なるほど、さすがの美人でございますな」

「あ、ありがとうございます…」

乃絵美は緊張した面持ちで、静かに会釈をする。

そして、加納に導かれるままに車に乗り込んだ。

「乃絵美…いつでも戻ってきていいのよ…」

「体に気をつけろよ…」

母も正樹も少し寂しげに、車に乗った乃絵美に声をかける。

「うん…」

乃絵美は少しだけ後悔した。

もし、このままここにいたら、もしかしたら立ち直れたかもしれない。

そんな思いが頭を過ぎったからだった。

だが、それは既に遅かった。

もし、新しい場所で以前のような生活になれば、必ず堕ちてしまうという事を体がよく
知っている。

「お母さんもお兄ちゃんも元気でね…」

乃絵美がそう言うと、車はゆっくりと走り出した。

どこへ向かうのかはわからない。

そして、彼女はもう戻る事はないかもしれない家を眺めながら、少しずつ押し寄せてくる
期待に胸を高鳴らせていた。


第一部完