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■待てなかった少女■

 

 

 






雨が降っています

私は一人、此処に立っていました

一つの淡い期待を描きながら…




しとしと…

雨は一向に降り止む気配はありません

でも、私は此処を離れる気はありませんでした


次第に、傘を持つ手が重くなっていきます

足元の感覚もなくなって来ました


しとしと…

それでも、雨は容赦なく地面を濡らしつづけます


いつまでこんな事を繰り返すのか?

自らの心が私に問い掛けます

私は答えました

…あの人が戻ってくるまで…

でも、この日は、それが叶う事はありませんでした…



*   *   *



一週間ほどが過ぎました

今日も雨が降っています

でも、私はその場所で悲しい事実を知りました

この場所に、家が建つそうです

でも、私には何も出来ません…

ただ、言われるが侭に、この場所から離れるしかありませんでした…

私に残された、最後の絆だったのに…



*   *   *



季節は冬になりました

商店街はクリスマスの彩りに包まれています

そして、行き交う幸せそうな人たち…

でも…私には関係ありませんでした

なぜなら、私には、幸せになれる相手も、その気持ちを打ち明けることが出来る相手も
いないのですから…

あの人が戻ってくるまでは…



*   *   *



翌日、再び空を雲が覆い、昼から大粒の雨が降りだしました

私は学校を抜けると、その足で、そこへ向かいます

もちろん、工事中のため、その場所まで行く事は出来ません

しかも、その場所は、もうじき完全に家になってしまうのですから…

でも、私はその場所の前の通りに立ち尽くしていました

せめて、そこが見える所にいたい…

私の精一杯の望みです…



*   *   *



年が明け、もうすぐ冬も終わりです

今日も、今年三回目の雨が降っていました

私は傘を差し、またいつもの場所に向かいます

詩子は気にしているみたいですが…、私は…これを止めることは出来ませんでした…

だって…信じてますから…



*   *   *



私は今日も歩道に一人立っています

雨は今年一番の降りを見せながら、真横から私の体を打っていました

…ざぁぁ

地面に打ちつけられ、草木を揺らす音だけが私の耳に響きます

通りには人影一つ見えません

まるで…私だけの空間であるように…


あの場所に建った家は、すでに大方、完成しているようでした

ここに人が住むようになると、もう此処には…立っていられなくなるのでしょうか…

不安が頭を過ぎります

でも、私はそれを打ち消すと、ひたすら待ちつづけました

雨に濡れた上着は、重く雨を含み、肌に纏わりついています

靴下から靴の先までも雨に浸かっていました

それでも…私は此処から立ち去るわけにはいかないんです…

ここに背を向けてしまったら…

私は…あの人を否定してしまう…

それだけは嫌でした…

私は空を見上げました

薄暗い上空からは、絶え間なく大粒の雨が私の顔を濡らします

あっという間に、ぼやけていく私の視線…

…そして…それが私の覚えていた最後の光景でした…



*   *   *



目覚めは最悪でした…

私は、どこかわからない家の中にいました…

部屋の中は不気味なほど、がらんとしています

家具が無かったからなのか、壁に内装が施されていなかったからなのかはわかりません…

外は、今も大粒の雨が降り続いていました

………

私は体を起こすと、窓の外を見ました

外には、さっきまで私が立っていた道路が見えます

そう…私は目の前にあった建てかけの家の中に居たのです

でも、この部屋には他の人の姿は見えません…

私は、濡れ重くなった体を引き摺りながら、ゆっくりと部屋から出る事にしました

ドアを開け、廊下に出ます

だけど、そこまででした

………

目の前に、薄笑いを浮かべている二人の男の人がいたんです…

手にはロープが握られていました…

「へへ、お目覚めかい?お嬢ちゃん?」

「折角、介抱してやったのに、もう出て行くのかい?」

男の人たちは、声こそ優しかったのですが、目がそれを否定しています…

その先に何が待っているのか、私はすぐに理解する事が出来ました…

それからはあっという間でした…

「…嫌…です…」

濡れた体を丸めた私に、男の人たちは容赦なく、覆い被さってきます…

…びりぃ…

水を含んだ洋服が、無残に引き裂かれていきました…

もう一人の人は、私のスカートを脱がせています…

「へへへ、知ってるぜ、お前、雨の度にあそこにいるよな?」

「こうやって襲われるのを待ってたんじゃねぇの?」

男の人たちは私の体に舌を這わせながら、意外な言葉を口にしました

私の心を悲しさが包みます…

そう…私は…あの人を待っていただけなのに…

…ショックでした…

そして、いつしかショーツまで脱がされると、男の人は、私の足を広げ、その上に
覆い被さったんです…

「…痛…っ…」

宙を浮くような痛みが、私の体を走ります…

あの人と…した時は…こうじゃなかったのに…

私は耐えがたい痛みに、泣き叫ぶしかありませんでした…

あそこから血が流れている感覚がお尻に伝わります…

でも…男の人は…それすら楽しんでいるように、私の奥へ奥へと入っていきました…

「へへ、最高だぁ…」

「早く替われよ、チンポがイテェぜ…」

もう一人の男の人も、おぞましいものを私の顔の前に曝しながら、息巻いています…

それだけで私は気を失いそうな絶望に駆られました…

…助けて……っ…

無意識に彼の名前を呼んでしまいそうになりました…

でも…呼べませんでした…

怖かったんです…

私の期待だけに終わってしまうのが…

「はぁはぁ…出たぜぇ…やっぱり締まりが違うと、量も出るなぁ」

男の人は、私の体に熱いものを吐き出すと、嬉しそうに私を見ていました

私は眼を逸らします…

でも、すぐに別の男の人が、私に覆い被さって来ました…

再び…激しい痛みが私を襲います…

そして、その行為は何度も何度も繰り返されたんです…

私は、口やお尻も奪われてしまいました…

もちろん…何度も抵抗しようと思ったんです…

でも、刃向かえば…私は二度と…この家から出られることはないでしょう…

それだけは嫌でした…

だから…私は…雨の音だけを聞く事にしました…

未だ降り注ぐ激しい雨音…

それだけが今の私を救ってくれました…



*   *   *



でも…私は自分の弱さを思い知ってしまったんです…

私はあの日以来、この家から出ることなく、男の人たちに抱かれつづけていました…

朝から晩まで私の休む暇はありません…

私の体には、常に男の人のものが刺さっていました…

気を失っても…眠ってしまっても…それは変らないんです…

今も…私は犬のように這いながら、お尻を抱えられていました…

口にも男の人のものが埋まっています…

「すっかり俺のチンポを根元まで咥えられるようになったなぁ」

「ケツも相変わらず、いい締りしてやがる」

男の人たちは、私を道具のように扱いながら、楽しんでいました

そして、激しく前後から私を突き続けます…

でも、その時…私は違和感に襲われたんです…

………

それは感じてはならない感覚でした…

…私は必死に否定しましたが、どんどん…その意識は強くなってしまいます…

「…ぁあぁ…っ…」

そして…私は情けなく息を漏らしました…

「へへっ、こいつもようやく感じてきやがったぜ」

それを聞いた男の人は、嬉しそうに、更に腰をぶつけてきます

「…くぅ…ぅ…」

…それに…私は耐える事は出来ませんでした…

「あぁん!…ぁぁ…」

私は恥ずかしげもなく大声を上げると、意識を失いました…

…情けなかったです…



*   *   *



また数日が経ちました

そして、私はこの家から連れ出されたのです

私は真夜中に起こされると、あちこちが破れた洋服を着せられ、この家を後にしました

どうやら入居者が決まったのが原因のようです…

そして、目隠しをさせられると、男の人の車に乗せられます

…何処へ行くかなどわかりませんでした…

…ただ…少しだけ淋しかったんです…

…あの場所から…離れてしまうことが…

私が連れてこられたのは、どうやらアパートの一室のようです


そこも、まるで私を飼うために借りたような、何もない空間でした

そして、私は再び不安と絶望の日を送ることになるのです



*   *   *



私は怖くなりました…

あの人に逢うのが…

今の姿をあの人に見られるのが…

今日も私は、この新しい部屋で惨めな行為をしています…

一糸も纏わぬ姿で、体にロープを食い込ませながら、私は男の人のものを舐めていました…

ロープは私の胸とあそこを抉るように食い込んでいます…

しかも…その行為は、目の前にあるカメラで撮影されているのです…

瞳からは無意識に涙が出ていました…

それでも、止めることは許されず…私はその赤黒いものに舌を這わせ続けます…

「へへぇ、じゃあ、出すからよぉ…顔で受けるんだ」

「俺も行くぜぇ」

男の人たちは、息の荒い声でそう言うと、自らのものを持ち上げ、私の鼻の上に曝しました

そして…ほぼ同時に…その先端からは白く濁ったものが…私の顔に降り注ぎました

それは独特の匂いを発しながら、私の頬や髪に飛び散っています…

そして…容赦なく私の顔を濡らしていきました…

私は食い込むロープに違和感を感じながら、それを無言で受け止めました…

その時…カーテンもない窓に…自らの姿を見てしまったんです…

………

顔を惨めに汚しながら、情けない表情を曝している私…

恥ずかしさと恐怖が…自らを包みました…

そして…心の底から思ったんです…

…この姿をあの人に…見られたくない…

いっそ…忘れられたら…

でも…

すぐに自らそれを打ち消します…

…ダメ…あの人を忘れる事なんか…出来ないです…

私は悩みました…

そして…一つの答えを見つけたんです…



*   *   *



それから、どのくらいの時間が経ったのかはわかりません…

私は休む間もなく、男の人の玩具になっていました…

ある時は、家に呼ばれた別の男の人にお金を受け取り抱かれたり…

また、ある時は、看護婦さんやウエイトレスさんの格好をされられたりもしました…

でも…とうとう…その時は来てしまったのです…

ある日、二人の男の人は、寝ている私をいつものように、強引に犯しました

私の体の中に、二本の熱い部分が埋まるのがわかります

そして…私の体は、それを拒否することなく受け入れていました…

そればかりか…必然的に…

…悲しかったです…

でも、私はただ…今の姿をあの人に見られたくない…

そう思っていただけです

そして、男の人たちは、私のお腹やお尻にどろどろとした体液を振りかけると、
着替えを済ませ、家を出て行きました

束の間の休息…

いつもならそうでした…

でも…今日は違ったんです…

男の人たちは帰ってきませんでした…

二日経ち、三日経っても姿を見せる事はありません

私は一人、このアパートに取り残されてしまいました

生活感の無い無機質な空間

それだけが私の目に入っていました

………

やがて、私は激しい空腹に襲われます

その日から、男の人たちが買ってきていた菓子やお酒などで凌いで来ましたが
それも限界でした

私は、あの時のままの汚れ、解れた洋服を着ると、ゆっくりと立ち上がります

少しだけ、足が震えました

でも、私は、一歩一歩踏みしめるように玄関のほうへ歩いていきます

…最初からこうすれば良かったのに…

心の何処からか当然の疑問が沸き起こってきました

でも…出来なかったんです…

…あの人に逢うのが怖かったから…

私は玄関のドアを開けると、外へと足を踏み出しました

…どこかで信じていたのかもしれません…

眩しい太陽の陽射しに慣れると、その先には何処となく見覚えのある光景が広がっています

学校から、そう遠くない場所でした…

私は歩きはじめます…

いえ…走っていたのかも知れません…

不安を押し殺す事が出来なかったんです…

そして…私は学校に辿り着くと、中庭の方へ足を進めました

…ぁ……

私の足が止まります

そう…その先には詩子と澪ちゃん…そして…あの人の姿があったんです…

…こう…へい…

私は彼の名前を呼びました

でも、それは言葉にはならず、私の唇を振るわせるだけ…

いえ…もしかしたら…思い留まったのかもしれません…

そして…それが正しかった…と、私は痛感するのでした

詩子がこちらに気がつき、怪訝な表情で私を見ています…

今まで見た事もない視線でした…

すぐに浩平と澪ちゃんも、こちらに目を向けます…

でも…誰も…私をわかってはいないようでした…

中庭に立ち尽くす、ボロボロの洋服を着た女の子…

そんな認識しか無いのでしょう…

そして、目を逸らすように、浩平たちは私に背を向けます

…やっぱり…

私は俯くしかありませんでした

でも…誰も責められないんです…

…これを招いたのは…私自身なのですから…

そして、三人に気が付かれないように、私は中庭を後にしました

自らに突きつけられた皮肉な現実に耐える事が出来なかったから…


それでも、春の陽射しだけは私にも分け隔てなく、その心地よさを与えてくれていました…




おわり