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■mission■

 

 

 



             

第5話「侵蝕(3)」







  あずさと長井は玄関に続く廊下を歩いていた。

  幸い、先ほどの二人のやり取りは誰にも気づかれる事はなく、廊下は沈黙を守っている。

  しかし、未だ恐怖から覚めやらぬあずさは、ぎこちなく長井の男根に手を添えながら、
きょろきょろと辺りを見まわしていた。

「けっ、落ち着きのねぇ女だな。そんなんじゃ帰る前にバテちまうだろうが?」

「…ご、ごめんなさい…」

  長井の言葉にあずさは謝りながらも、やはり落ち着きなく歩いている。

  やがて、玄関に辿り着くと、長井はガラス製のドアを開いた。

「さぁ、さっさと行くぞ」

  しかし、考える余裕など与えられず、あずさは長井に腕を引っ張られると外へ足を踏み出す。

  玄関の前の通りは、まだ会社帰りのサラリーマンなどでかなりの人通りだった。

  あずさと長井は一瞬にして、大勢の人間の注目を浴びる。

「…ぅぅ…」

  あずさは顔を真っ赤にして下を向く。

  如何に評判の良い制服だと言っても、公衆の面前で私服として着るには派手過ぎるものだった。

  そればかりか、長井の腕に隠れているものの、その時もあずさはしっかりと男根を握っている。

  もし、バレたら…。

  そう考えただけで、あずさは心臓が止まりそうだった。

  だが、長井はそんな彼女の気持ちを更に貶めるように、あえて寮と反対側へ向かい歩きはじめる。

「…え…こっちは…」

「いいじゃねぇかよ、見せつけて歩こうぜ。お前が着替える時間も惜しいほど俺と一緒に居たい
ってところをよ」

  長井は勝ち誇ったように笑った。

「…ひぃぅ…」

  あずさは、本当にそう言うイメージで自らを見る人間がいてもおかしくないと寒気を覚える。

  そして、長井から少しでも体を離して歩こうと思うが、少しでも離れるとズボンに手を入れている
のが見えてしまうので、それは無理だった。

  そればかりか、大勢の視線を浴びていると言う気持ちが、無意識のうちにあずさを長井の体に
密着させている。

  数分ほど歩くと、二人は駅前に辿り着いた。

  そこは、先ほどの通りなど、比べ物にならないほど大勢の人で溢れ返っていた。

「うぅ…もう…帰りましょう…」

  あずさは嘆願するように長井の顔を見上げる。

「へへ、そうするか」

  意外にも長井はそのあずさの顔を見て満足したのか、駅のロータリーの手前で引き返すと、
寮へ向かう為、薄暗い路地に入った。

  街燈もなく、すぐ近くに駅があると言うのが嘘のような静けさだったが、あずさは人目を
避けられた事に少しだけ胸を撫で下ろす。

  だが、長井は、あずさの腰に回していた腕をゆっくりと下げると、スカートを捲り上げ、その中の
剥き出しの尻を撫で始めた。

「…えっ…あぁ…っ…」

  あずさは弱々しく声を漏らす。

「へへへ、お前にチンポ握ってもらってるから、俺もお返しに尻とマンコ弄ってやるぞ」

「そ…そんな…」

「嫌なのか?」

  困惑するあずさに、長井は威圧感のある声を浴びせた。

「い、いえ…」

  あずさは、再び店での事を思い出すと、気持ち悪さと恥ずかしさを押し殺し頷く。

  そして、長井の手は容赦なくあずさの尻を弄りはじめた。

  ただ撫でるだけでなく、時折、鷲掴みにしたり、抓るように握ったりと、遠慮なく彼女の
尻の感触を楽しんでいる。

  あずさはただただ耐えるしかなかった。

  やがて、その行為は秘部にまで及び、二本の指でいやらしく花弁を擦り始める。

「……っ…」

  あずさは必死に声を押し殺した。

  如何に人通りがないとは言え、いつ何処で人と出くわすかも知れない。

  それだけは絶対に避けたかった。

  しかし、愛撫が続くにつれ、あずさは嫌悪感や屈辱感以外の何かが体の奥から湧き上がって
いるのを感じた。

…うそ……

  あずさはその正体を本能的に察したが、認めたくない一心で耐え続ける。

  そして、その路地はようやく寮の近くの通りにぶつかり、長井も尻から腰へと手を戻す。

  だが、辛い責めから開放されたと思ったのも束の間だった。

「あれ?日野森?」

  通りに出た二人は後から呼び止められる。

  それは、あずさのよく知った声だった。

「ま、前田くん…」

  あずさは目を丸くする。

  そう、彼女を呼び止めたのは、寮の隣人であり同じ職場の仲間、前田耕治だった。

「何してんだよ?制服なんて着ちゃって?…それに長井さんまで?」

  耕治は不思議そうな表情で二人を見た。

「………」

  あずさは返答に困る。

  しかも、至近距離で耕治に見られているため、自らが長井のズボンに手を入れていることが
わかってしまうのではないかと、気が気ではなかった。

  あずさは横目で長井を見た。

  だが、長井は耕治の問いかけに返答する素振りはなかった。

  そればかりか、あずさのほうをただ黙って見ている。

  あずさは、すぐに自らに弁解させようとしている事を理解した。

「なんだなんだ?」

  そんな不自然な二人に、更に耕治は言葉をかける。

「………」

  あずさは逃げ場がなかった。

  これ以上何も言わなければ、耕治が更に首を突っ込んでしまう。

  今のあずさの秘密を知られてしまえば、待っているのは破滅だけだった。

「…なんでもないよ。ただ、ちょっと具合が悪くなっちゃったから、長井さんに送ってもらって
たんだよ…」

  あずさは長井に身を寄せるように俯くと、それらしい言い訳を取り繕う。

「って、大丈夫なのか?日野森?」

  だが、普段と何か違うあずさの態度に、耕治は心配そうに目を凝らす。

  今にも駆け寄って来そうな雰囲気だった。

…いや…来ないで…。

  あずさは辛そうな顔を浮かべ、何度も心の中で呟く。  

  無意識に、長井の男根を掴む手に力が篭った。

  手の平には熱と血液の流れがはっきりと伝わる。

「…ぁ……」

  あずさはその感覚に思わず声を漏らした。

「日野森?」

「…ひぃ…こ、来ないで…。な、何でもないから…」

  あずさは、自らの方へ歩み寄ってきた耕治に驚いたように声を荒げる。

  自らの立場が崩壊してしまうかも知れないという瀬戸際に、握っている男根の感覚に気を
取られてしまう事がショックだった。

「………」

  しかし、耕治はそんなあずさの気持ちを理解する訳もなく、残念そうな顔を浮かべ、その場に
立ちつくす。

  あずさはハッとした。

  それは、耕治の気持ちを知っていたからに他ならない。

  そして、あずさもそんな耕治の顔を見るのが辛かった。

「………ま、前田…くん…」

  あずさは、済まなそうに声を絞り出す。

  耕治はただ、じっとあずさの顔を見ていた。

  沈黙が流れる。

  やがて、あずさの中に全てを耕治に話してしまいたい衝動が、波のように押し寄せてきた。

  口元がその感情を表すように震えた。

  だが、それは長井の助け舟によって封じられる。

「前田、心配すんな。大した事ないみたいだし、俺がちゃんと家まで送ってやるからよ」

  長井はあずさの肩を掴み、自らの方へ更に密着させると胸を張った。

  その一言で、耕治の表情が少し和らぐ。

「ええ…。…日野森、無理すんなよ…」

  そして、長井の言葉に頷くと、耕治はあずさの目を見て言った。

「それに…何かあったら…俺に言ってくれ…」

  耕治はあずさの態度が自らに迷惑をかけるのを嫌ったと思ったのか、その口調と表情に
無念さが篭っている。

「…今度から、そうするよ…」

  あずさは複雑な思いを抱いた。

  だが、その為、押し寄せた衝動は引いてしまい、代わりに背徳感が押し寄せてくる。

  あずさは、それをごまかす為に精一杯、笑顔を作った。

「行くぞ、あずさ」

「…はい」

  そして、二人は耕治と別れると、間近に迫っていた寮に辿り着く。

  あずさは少しだけ気が楽になる。

  だが、それは甘い見解でしかなかった。

「さてと」

  あずさの部屋の前まで来ると、長井は自らのポケットに手を突っ込み、鍵を取り出した。

  そして、その鍵をドアのノブについている鍵穴に差し込む。

  鍵は何の抵抗もなく鍵穴に刺さり、長井の手首の動きに合わせ、カチャリという音とともに
開いた。

「………」

  あずさは呆然とする。

  しかし、思い起こせば当然のことだった。

  あの悪夢が起きた日の翌朝、あずさは自らのベッドで目覚めているのだ。

  長井たちが自らを部屋に運んだと考えるのが普通であろう。

  しかも、合鍵を作られていたとしても、不自然ではなかった。

「ん?どうしたあずさ…?俺が鍵を持ってるのが意外か?」

  長井はドアのノブを見ながら、固まっているあずさに声をかける。

  そして、彼女の予想通りの答えを浴びせた。

「お前をレイプした後に、ちゃんと合鍵を作らせてもらっただけだぜ?そんなに驚くことじゃ
ねぇだろう?」

「……ひぃ…」

  当たり前のように言う長井にあずさは体を竦めた。

  だが、すぐにあずさの想像を上回る事実が突きつけられる。

「昨日までは非公認だったが、今日からは大手を振って鍵を開けられるってもんだ」

「…え?…昨日までって…」

「おう、言ってなかったけどな。お前が仕事の時は毎日来てたって訳よ。それで、
お前の使用済みの下着とか歯ブラシや冷蔵庫に入ってたヨーグルトなんかでオナニーして
やったからな。さっさと俺のチンポの味を覚えさせる為によ」

「………!?」

  自らの知らぬところで、そのような屈辱を受けていた事を知り、あずさはおかしくなりそう
だった。

  そして、胃の内容物が逆流する感覚に陥る。

「ほれ、さっさと入るぞ」

  だが、そんなあずさの気持ちなどお構いなしに、長井は鉄製のドアを開くと、部屋の中へ
身を進めた。

  そして、ドアを閉め、玄関にある灯りのスイッチを押すと、長井は正面にあずさを引き寄せる。

「さて、一発目は玄関でやろうじゃねぇか」

  長井は嬉しそうに笑い、空いている手でズボンのベルトを外した。

  程なく、ズボンがずり下がり股間が露わになる。

「…ぅう…」

  それはショックな光景だった。

  長井の男根は激しく勃起し、トランクスを擦り下げ天を突いている。

  太さも色も、男根など見慣れていないあずさにとっては異様な代物だった。

  そして、その竿を掴んでいるあずさの指。
  
  その、不釣合いな組み合わせが、その異様さを一層引き立てる。

  しかも、男根の先からは粘液が滴り、あずさの指もヌラヌラと光っていた。

「へへ、それじゃあ、離していいぜ」

  あずさは、長井に言われ、我に返ったように男根から指を離した。

  汗ばんだ感覚がしっかりと伝わる。

  どこかに拭ってしまいたかったが、手の届く範囲にはそう出来る場所や物はなかった。

  だが、そんなあずさの気持ちを見透かされたように、長井から命令が飛ぶ。

「気持ち悪そうじゃねぇか?じゃあ、自分の手の匂いでも嗅いでみろよ。そうすれば気分も良く
なるぜ?」

「………」

  非情な命令だった。

  あずさは、自らが貶められていく感覚を感じながら手の平に目を向ける。

  すっかり全体は汗にまみれ、指には透明な粘液が光っていた。

  しかし、あずさは拒否する事も出来ず、ゆっくりと手を自らの顔に寄せる。

「……ぅ…」

  手が近づいてくると、すぐに形容し難い匂いが鼻をついた。

「ほれ、もっと目の前まで持ってけよ」

  だが、長井に急かされ、あずさは覚悟を決めると更に手を鼻先に近づける。

  想像を絶する匂いだった。

  自らの手が、こんな悪臭を放っていたことがあずさは悔しかった。

  しかし、責めはまだ続く。

「次は舌で味わうんだ」

「…え…?」

「え、じゃねぇよ。その汗と汁を舐め取れって言ってんだ!出来ないのか!?」

「ひぃぃ…や、やります…」

  長井のドスの聞いた声に、あずさは震えながら、すぐに舌を伸ばした。

…ちゅぷ…

  そして、自らの手を丹念に舐めていく。

  すぐに、塩辛く気持ちの悪い味が口の中に広がった。

  瞳からはうっすらと涙が溢れている。

  しかし、止める事など出来なかった。

  手の平を舐め終えると、次は指に移り、あずさは全ての汚れを胃に収める。

「けけけ、よく出来たな。それじゃあ、ご褒美だ」

  長井は、放心状態で立ち尽くすあずさを抱えると、片方の太腿に手をかけた。

  そして、ゆっくりと体を持ち上げドアに押しつける。

  捲れあがったユニフォームのスカートの端からは、あずさの恥毛と秘部が姿を見せた。

「さて、入れてやるぞ」

  長井は、激しく勃起した男根を扱き、秘部の先にあてがった。

  そして、奥に向かい進軍を開始する。

…ちゅぷ…

「…ひぁ…ぁ…」

  すぐにあずさを妙な感覚が襲った。

  挿入自体には全く痛みを感じてはいない。

  ただ、痺れるように自らの膣に向かう男根の動きがはっきりと伝わってくる。

「くぅ、やっぱり、いい締まりしてんな」

  長井は感心したように、更に奥めがけて進んでいた。

  そして、完全に挿入が終わると、あずさのもう片方の太腿にも手を伸ばし持ち上げる。

  あずさは完全に長井に抱えられる状態になり、ドアと彼に挟まれバランスを保っていた。

…ぐちゅ…くちゅ…

  すぐに長井は激しく腰を突き上げはじめる。

  その勢いは、あずさの体を突き抜け、ドアにまで伝わっていた。

「…はぁ…ぁ…」

  あずさは声を殺すように、無意識に反応している。

  気持ちいいと言う訳ではなかった。

  しかし、違和感なくそれを受け入れている。

  あずさは複雑だった。

  心は未だ恐怖と恥ずかしさに襲われているのに、体は全く嫌悪感を示していない事が。

…ぎしっ…ぎし…

  ドアの振動は更に激しさを増していた。

「…あぁ…も…もっと静かにぃ…」

  あずさは、外にバレるのを恐れ長井に声をかけたが、体中を不思議な感覚が駆け抜け
喘ぎ声のように部屋に響いた。

「へっ、すっかり感じてるな。バレたらバレたでいいじゃねぇか。ちゃんと鍵も開いてるしよ」

  しかし、長井は嬉しそうにあずさの言葉を受け流す。

「…ひぃぃ…」

  あずさは情けなく声を上げた。

  しかも、鍵が掛かっていない事実を知り、更に複雑な心境に陥る。

  今すぐバレてしまうかも知れない状況。

  あずさは何かにすがるように、長井の背中に手を伸ばした。

  しかし、彼女が彼の体を抱えた事によりバランスが取れ、皮肉にもその責めは一層激しさを
増す。

…どん…どんっ…

  まるでノックをしているように、あずさの背中がドアを打ちつける。

「ひぃぃぃ…」

  しかし、あずさは、その原因に気づく由もなく、更に抱える腕の力を込めた。

「へへっ、それじゃあ、イクぞ」

  そして、程なく長井は小刻みに腰を震わせ、あずさの膣に欲望をぶちまける。

「…あぁ…ぁ…」

  だが、同時にあずさも絶頂を迎えた。

  体の中に注がれていく精液の感覚が遠のいていくのを感じた。

  そして、震えが全身を襲う。

  その振動は、すぐにドアを伝い外に響いた。  

「あずさもイッちまったみたいだな、へへ、これからも死ぬほどイかせてやるぜ」

  長井はあずさを抱えながら、満足そうに笑う。

  そして、最後の一滴まで、彼女の中に白濁液を注ぎ込んだ。

  しかし、当のあずさは自らが絶頂を迎えたと言う事実には気がついていない。

  ただ、意識を混濁させ、身を長井に委ねているだけだった。

「…はぁ…はぁ…」

  そして、あずさは疲れ切ったように目を閉じる。

  だが、それは長い夜のはじまりに過ぎなかった。





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