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■mission■

 

 

 



第28話 新世界(5)





 彼女は自分が変わった事に気づいていなかった。

 その日までは。





 季節は春を迎えていた。

 日ごとに暖かくなっていく陽射し。

 だが、あずさの生活は何も変わってはいなかった。

「…………」

 カーテンの閉まった薄暗い部屋で1人佇む彼女。

 今日は日課である点呼も免除されており、出勤も夜からである。

 それは店の閉店後にAV撮影が行われるためであった。

 もっとも、あずさにとってAVに出演するのはこれで4回目で、うち2作は店頭に並んでいる上に完全無修正版も有料サイトで配信
されているため、もはや気後れするような話ではないのだ。

 ただ、今回は店全体を使ったドキュメント仕立ての作品らしく、監督の島野はPiaキャロットの集大成と豪語している。

 実際、台本を貰っていないため詳しい内容はわからなかったが、ここ1週間は撮影前のスキンシップと称して毎日違うスタッフに対
する性欲処理(膣、肛門、口、乳房で最低4回)を行っており、かなりの人員を投入している事だけは疑いなかった。

 また、共演する妹の美奈も同じように奉仕に勤しみ、参加スタッフは例外なく姉妹の味を堪能出来た事になる。

「……ぁん」

 あずさは無意識のうちに自らの乳房を弄っていた。

 睡眠時間以外はほぼ男と交わっているという生活を繰り返すうちに、身体は常に刺激を欲するようになっていたのだ。

 救いようのない自分。

「…………っ」

 我に返った彼女は咄嗟に胸から手を離した。

 先ほどシャワーを浴び、丹念に秘部を拭ったにも関わらず、その花弁は既に湿っぽくなっている。

 しかも、気持ちは昂ぶり穴という穴が寂しさを覚えていた。

――うぅ、ダメ……こんな事しちゃダメ……。

――こんなの私じゃない……。

 あずさはそう自分に言い聞かせると、何とか理性を保とうと努めるのである。

 もう自らの意志では、男に股を開かないと誓いながら。





 それから数時間後。

 彼女の決意は粉々に打ち砕かれていた。

「……あぁん、このおチンポ……好きっ。我慢出来ないのぉ……」

 あずさは店のトイレで嬉々として肉棒をしゃぶっている。

 相手は伊三であり、久しぶりの再開でいきなり肉棒を見せつけられ、彼女の方から便所に誘ってしまったのだ。

 幾度となく射精させた事のある剛棒。

 それは以前と比べ少しも衰えておらず、懐かしい悪臭を漂わせながら脈を打っている。

「じゅるる、あぁん……素敵……。じゅぷ、じゅるっ」

 あずさはときおり頬ずりを繰り返しながら、一心不乱に奉仕を続けた。

 撮影の時間が迫っていたが、気にしている余裕はない。

 とにかく伊三の男根を味わい、特濃の精液を浴びるか、膣内を満たされたかったのだ。

「ふぉふぉ、お主もまったく衰えておらぬのぉ。さすが儂の見込んだ女じゃ」

「あん、嬉しい……、そう言っていただけると私も幸せですぅ……ちゅぷっ」

 上目遣いで男を見ながらあずさは唇で男根を扱いていく。

 野太さゆえに口元からは唾液が溢れ、だらしなく顎を伝っていた。

 それほどまでに熱心な奉仕。

「ふぉふぉ、なら明日から儂と一緒に暮らしても問題ないかの?」

「ほ、本当ですか?」

「もちろんじゃ、もともとお主は指南料として儂が貰う予定じゃったからの。もうじき店も潰れる事じゃ、頃合いじゃろ」

 伊三は平然とそう口にする。

「おっと、言い忘れちょったが生活費は全てお主に稼いで貰うけんの。働き口は紹介しちゃるから心配はいらんぞい」

「ありがとうございます、喜んでご主人様のために働かせていただきますわ、じゅる……」

 あずさは少しの躊躇も無く彼の言葉を受け入れると、更にねっとりと男根にしゃぶりついた。

 もちろん相手が伊三であるがゆえの反応には違いなかったが、今の状態であれば、仮に別の男に同じ提案をされても拒否する事は出
来なかったであろう。

 それほどまでに彼女は快楽に溺れ、男に依存していた。

――あぁん……もっとぉ……。

――もっとご主人様のおチンポぉ。

――あん、これ邪魔……ご主人様を気持ちよくしたいのぉ……。

 あずさは肉棒に舌を這わせながら、自らの胸を覆っていた洋服を引き裂いていく。

 そして、柔らかい膨らみを露わにすると、伊三の男根をその谷間に導くのだ。

「はぁ、はぁ……太い。じゅるる、じゅる……どうですか?私のおっぱい……気持ちいいですか……?」

 彼女は肉と肉が交わる接点に唾液を流し込み、乳房を滑らせながら彼に尋ねる。

 伊三の肉棒は本能的に熟知しており、カリ首の部分を重点的に責めると竿の根元の方にある太い血管に舌を伸ばしていた。

「ふぉふぉふぉ、さすがじゃの。よく儂のチンポを心得とるわ」

「じゅちゅ、あぁん……嬉しい、いっぱい気持ちよくしますからぁ、どうかご主人様のザーメンを恵んで下さいませ……」

 あずさはそう言うと嬉々とした表情で伊三を見上げる。

 唾液でベタベタになった口元。

 それを今度は乳房の谷間から零れる亀頭に重ねるのだ。

「じゅぶ……じゅぼ、あぁ……じゅぷっ」

 唇と胸であずさは男根を扱き続ける。

 その激しさにときおり肉棒が谷間から零れたが、彼女は亀頭に吸い付いくとすぐに状態を立て直す。

 まさに間断なく快感を与え続ける肉のオナホールであるかのように。

「ほれっ、ご褒美じゃ」

 そこへ伊三の声とともに勢いよく精液が噴き上がりはじめた。

 青臭い汁は何度も脈打ちながら彼女の顔を汚していく。

「はぁぁん、熱いの出てるぅ……じゅる」

 あずさはうっとりと白濁液を受け止めると、3度目の脈動のあと肉棒を口に含んだ。

――うふっ、まだ出てるの……。

 唇を窄め、精液を堪能する少女。

 そして、全てを飲み干すと尿道に溜まった精液も一滴残らず吸い上げていくのである。

 伊三の肉便器である事に悦びを覚えながら。






 撮影がはじまったのは深夜1時を回った頃であった。

 店内は照明こそついてはいたものの、外部からの通報を警戒して営業している時の半分程度の明るさになっている。

 だが、席には客役のスタッフが座り、同僚たちもエキストラとして店内を回っていたため、見た目は営業中と変わりなかった。

「…………」

 そんな中、事務所でモニタを眺めるあずさ。

 隣には美奈も座っており、彼女もじっと画面に目を凝らしている。

 余談ではあるが、あずさは伊三への奉仕の後、シャワーを浴びる時間もなく顔を軽くタオルで拭いただけで撮影に臨んでいた。従っ
て彼女からは精液の匂いが今も漂っており、髪の毛には目立たないとはいえ白身のような染みがこびり付いているのだ。

 とは言っても、あずさの方はまるで意に介しておらず、今度は自らを撮影しているカメラの方に目を向ける。

「はじめまして、日野森あずさと申します」

「はじめまして〜、日野森美奈ですぅ」

「私たちはここ、Piaキャロット中杉通り店でウェイトレスとして働いています」

「働いていま〜す」

「今、ネットでも話題になっていると思いますが、今日は私たちの秘密のお仕事を皆さまにお見せしちゃおうと思います」

「どうか、最後まで美奈たちのお仕事――見ていただけると嬉しいです」

 2人は殆どアドリブでそう言うと、深々と頭を下げる。

 お互い白と紫色がベースのメイド服を模した制服に身を包んでおり、普段の仕事と同じくブラジャーやショーツは身に着けていなか
った。

 そのため、肌が透けているのがはっきりと見て取れ、僅かに勃起した乳首が白い生地を押し上げると胸の頂点に皺を作っている。

「いらっしゃいませ、Piaキャロットへようこそ!」

 そうこうしているうちに、入口を映したモニタから同僚の声が響くと3人組の客が入ってくるのが見える。

 もっとも、その3人だけは例外なくフルフェイスのマスクを被っており、メディア化した暁には「お客様のプライバシーを考慮して
一部演出を加えております」と表示される事になっていた。

「どうかな? お姉ちゃん?」

「そうね、みんな逞しそうだし、期待出来るかも」

 男たちに視線を釘付けにしながら、あずさと美奈は言葉を交わす。

 脚本には「入店してきた男たちの品定めをしろ」としか書かれておらず、この部分もほぼ全てがアドリブで進行しているのだ。

 こうして席に案内された彼らはコートを脱ぐと、メニュー表を手に取った。そして、暫くの沈黙の後、注文をウェイトレスに伝える
のである。

「――かしこまりました。それから、お客様? 現在当店ではトイレの利用アンケートを実施しております。回答していただきました
方には料金を10%引きさせていただきますので、是非ご利用下さいませ」

 注文を受けた同僚は、男たちにそのような事を伝えた。

「へぇ、そうなんだ」

「小の方でいいの?」

「はい、アンケート用紙は入口にございますので、よろしくお願いします」

 笑顔でそう告げるとメニューを集めテーブルから離れる少女。

 あずさたちはその姿をただじっと見つめていた。

「なら、さっそく行こうぜ」

 そんな中、男の1人が提案すると彼らはこぞってトイレに向かうのだ。

「さて、いよいよ日野森姉妹チェックがはじまります」

「美奈もドキドキしてきましたぁ」

 2人は笑顔で言葉を交わしながら、別の液晶モニタの電源を入れた。

 すると、画面には洗面台とドアが映し出される。

――カチャ

 そして、すぐに木製の扉が開くと先ほどの男たちが入ってきたのである。

 そう、カメラは小便器に空いた小さな穴に設置されており、男の股間をほぼ正面から捉える事が出来るのだ。

「へへ、先にするぜ。我慢してたんだよ」

 男の1人が他の仲間に声をかけると、すぐにカメラの前に覆い被さってくる。

 露わになる肉棒。

 それは勃起こそしていなかったものの、それなりの大きさを有しており露出した亀頭が卑猥さを醸し出していた。

「結構大きいね。美奈、しゃぶりたくなっちゃう」

「うふっ、私も。このチンポならいっぱいイかせてもらえるかも」

 あずさたちは舌なめずりを繰り返しながら小便をぶち撒けている肉棒を評価している。

 もっとも、そう命じられた訳ではなく「チンポに対してありのままの評価をしろ」という一文に従っているだけであった。

 だが、それだけで身体は熱くなり、望んでいる訳ではないにも関わらずテンションが上がっていくのだ。

「ふぅ、スッキリしたぜ」

「今度は俺だな」

 つづいて画面には二人目の男根が映し出されていた。

 陰茎の長さは先ほどの男に比べて短いもの、太さは明らかにこちらの方が上であった。また、玉袋が異様に大きく彼女たちはそれに
目を奪われる。

「……じゅる、すごく大きいね……、ザーメンいっぱい出そう……」

「うん、美奈――こっちもしゃぶりたい」

 2人はますます身体を熱くすると、撮影されているのも忘れ画面に食い入っていた。

「…………」

 そんな中、更に次の男が小便器の前に立つ。

「うそっ」

「え〜」

 しかし、彼のズボンから出てきたのは、これまでの2人とは遥かに劣る肉棒だった。

 亀頭は完全に皮に埋もれており、小便が噴き出しても尿道が顔を覗かせる事はない程の包茎。

 その上、芋虫のように丸く短い陰茎は、大部分が陰毛に埋もれているといっても過言ではなかった。

「美奈、これいらない」

 美奈は不満そうに頬を膨らませると、あっさりと切り捨てる。

「……うん、ダメね。こんなチンポじゃ女の子は満足させられないかも」

 あずさも妹に倣ったが、その短小包茎は別の意味で気になる存在だった。

 だが、既に奉仕する肉棒は決まっており、この男を選ぶ理由はないのである。

「お姉ちゃんどっちにする?」

「ミーナが先に決めていいわよ」

「え〜と、なら美奈は太いおちんちんにするね」

「うん、わかった。じゃあ私は長い方ね」

「じゃあ、そろそろ行こっ?」

「そうね」

 2人はそれぞれの獲物を定めると、席を立ち店内へと向かうのだ。

 目前に迫る淫猥なサービスにスカートの中を湿らせながら。





「お客様、お水のおかわりは如何でしょうか?」

 あずさたちは店に出るとすぐに3人の座る席に直行した。

 男たちは4人掛けのテーブルに2人と1人が向かい合うように座っており、お目当ての男たちは都合良く通路側に陣取っている。

「悪いね、貰おうかな」

「はい、かしこまりました」

 あずさは男の言葉を受け、水の入ったポットを手に取るとコップを引き寄せた。

「少々お待ち下さいませ」

 また、美奈も同様に別の男のコップを手に取っている。

「…………あ」

 だが、2人はほぼ同時にポットに入った水を僅かではあるが男のズボンに零したのだ。

「あ、申し訳ありません」

「すぐにお拭きします」

 男が反応するより早く、彼の前に跪くと股間をおしぼりで拭いはじめるあずさ。

 その動きはすぐに股間全体へと広がり、やがて素手へと変化していく。

「あん……、どんどん大きくなってる……」

 否が応でも悩ましくなる息遣い。

 あずさは男の股間を掌で捏ねながら、熱っぽく愛撫を続ける。

「いや、その……」

 戸惑ったような声を漏らした男は少しだけ腰を引いた。

「あぁん、遠慮なさらないで下さい。悪いのは私ですから……」

 しかし、あずさは心底申し訳なさそうに彼を見ると、その動きを封じるのだ。

 そして、彼女自らズボンのチャックを下ろし、男根を剥き出しにするのである。

「ごくっ……素敵」

 怒張はトイレで品定めした通りの逞しさを有しており、独特の臭気に彼女は瞳を潤ませていた。

「あん、やっぱりすごく太いですぅ」

 美奈からも心底嬉しそうな声が響き、2人は肉棒を直に扱いていくのである。

 その責めに熱を帯び、固くなっていく男根。

「あの、お客様……?」

「は、はい」

「お詫びに口で奉仕させていただいてもよろしいでしょうか?」

 あずさはしきりに男根を扱きながら男に嘆願した。

 上目遣いで彼を見つめ、舌なめずりを繰り返しながら。

 現実にこのような展開になった時、断れる男がどれほどいるであろうか?

「是非、お願いします……」

 彼は当然のように頷くと、肉棒をあずさに委ねた。

「ありがとうございます、おチンポが気持ちよくなるように精一杯ご奉仕いたします」

「美奈もこのぶっといおちんちん……いっぱい舐め舐めしちゃいますね」

 まるで専属のメイドであるかのように男根を握りながら微笑む2人。

「…………」

 その時、あずさはもう1人の存在に気を留める。

 少しだけ腰を浮かせながら、食い入るようにこちらを見ている男。

 股間は僅かに膨らんでおり、仲間たちが受けている幸運にあやかりたい様子であった。

「あの……お客様?」

「は、はい……」

「大変申し訳ないのですが……お客様のおチンポはご奉仕する基準に達しておりません」

「ごめんなさい。美奈……おっきいおちんちんが好きなの」

 だが、あずさたちは男に冷たく言い放つと、再び目の前の肉棒に意識を向けるのだ。

「……ちゅぷ」

「ちゃぷ、ちゅる」

 こうして2人はねっとりと男根をしゃぶりはじめた。

 舌を通して伝わってくる肉の温もりと固さ。また、否が応でもカメラやスタッフの視線を感じ、その動きは更に熱を帯びていくので
ある。

「あぁん、まだ固くなってますわ……ちゅる」

「素敵……美奈、おちんちんもっと大好きになっちゃう……ちゅぽ」

 あずさたちは一心不乱に男根を舐り、唇で扱いた。

「あぁ、もっと奧まで咥えて」

「玉も舐めてよ」

「ふぁい……ぐちゅ」

「ちゅぷ、ちゅぽ」

 男たちの命令には当然のように従い、どんなはしたない行為でも平然とこなしていく。

 また、彼らの手によりスカートはたくし上げられ、愛液に染まった秘部を露わにされたが、2人は怯むどころかカメラに向かいはし
たない花弁を見せつけるのだ。

 あずさの秘部は左右非対称に肥大した小陰唇が赤黒く染まっており、彼女の男性経験の無秩序ぶりを物語っていた。

 その上、秘口からは絶え間なく蜜が溢れると、だらしなく太腿を伝っている。

 美奈の方はまだ控え目な肉穴であったが、愛液の分泌量は姉と大差なく、肛門をひくつかせながら淫らな粘液を垂れ流していた。

「まさかファミレスでこんなにエッチな女の子に出会えるなんて……」

「そんな、ただお客様のおチンポに我慢出来なくなっただけです、ちゅぷ、ちゅるる」

 あずさはうっとりと肉棒に頬ずりを繰り返すと、少しの躊躇も無く男とその隣にあるカメラに自らの気持ちを告げる。

「あぁん」

 その時、彼女の背後では美奈が早くも男と交わりはじめていた。

 男の膝に乗った小さな身体の根元には肉棒が深々と埋まっており、更に奧まで食いつこうとしているのがわかる。

「俺にも向こうみたいにやってもらえるかな?」

「はい、喜んで」

 あずさは彼に言われるがままに自らも膝の上に跨った。

「……失礼します」

 そして、腰の動きだけで勃起した男根を咥え込むと、そのまま尻を沈めていくのだ。

「あ、ぁん……おチンポ入ってくるぅ」

 心底心地よさそうな牝の叫び。

 彼女は男の背中に手を回し、更に深く腰を被せた。

 愛液を漏らしながら肉棒に吸い付く秘肉。

 そこには容赦なくカメラが向けられ、淫猥な結合部を余すところなく焼き付けていくのである。

「あん、いいのぉ……おチンポ気持ちいいのぉ」

 あずさは狂ったように腰を振っていた。

 既に理性など存在しない。

 今の彼女にあるのはとにかく男に尽くし、肉棒に溺れながら絶頂を迎える事だけであった。

 従って、彼に尻を鷲掴みにされようとも文句はなく、制服のボタンを外され乳房を剥き出しにされようが全て甘受していく。

 まさに男根に支配されているような状態であろう。

「あぁ、お客様……出したくなったらお好きな時に膣内にぶち撒けて下さいませ……。はぁ、はぁ……もちろん、妊娠してもお客様に
ご迷惑はお掛け致しません。……それに、物足りないようでしたら……飽きるまでお相手をさせていただきますので――ど、どうか、
お好きなだけ愉しんで下さいませっ……」

 あずさは石臼でも回すかのように尻を捏ねると、男に嘆願を繰り返す。

 それは既に演技を超越しており、例え撮影後に求められたとしても拒む気は毛頭なかった。

「ひぁぁん、美奈……もうイっちゃいそう、ごめんなさい……先にイっちゃうなんて……、でも、美奈頑張るから……嫌いにならない
でおちんちん汁ぴゅっぴゅしてぇ……」

 美奈も同様に卑猥な言葉を男に投げかけ、暴走した機械のよう浅ましく尻を振る。

 救いようのない姉妹。

 それはまるで2人の中に流れる血がそう仕向けているようであった。

「へへ、なら遠慮なく出させてもらおっかな」

「あぁん、嬉しい」

「ふふ、俺もだしてやっから、美奈ちゃんもうちょっと我慢出来るよね?」

「う、うん……美奈、頑張るぅ……」

 攻勢に転じた男たちに応えるように、2人は更に腰を密着させていく。

 その上で、小刻みに尻を揺すると絶頂への階段を駆け上っていくのだ。

「あぁ……も、もう……」

「美奈イっちゃぅぅ!」

 射精と同時に、ぎこちなく背中を反らしながらあずさたちは達していた。

 そんな中、秘部はしっかりと肉棒に吸い付くと、膣内への流入を促していくのである。

 例え相手が誰であろうが、同じように繰り返される行為。

「あん、中にいっぱい……」

 こうして、あずさは軽く腹をさすると、子宮を満たす生温かい子種をいつまでも感じ続けるのだ。

 恍惚の表情をカメラに見せつけながら。






 暫くの後、撮影は休憩に入っていたがあずさは今も男と繋がったまま、肉棒を堪能していた。

「……はぁ、はぁ」

 悩ましく尻をくねらせながら、快感を貪る少女。

 そんな時、彼女は自らの隣で立ち尽くしていた男の存在を思い出す。

 マスクで顔を覆っているため表情を窺う事は叶わなかったが、彼が射精を求めていたのは明らかであった。

「ねぇ?」

「…………うぅ?」

「あなたもしたい?」

「…………」

「セックスしたいかって聞いてるの」

「……し、したいです……、でも……」

「でも?」

「こんなチンポだし……、怖い……」

 男はそう言うと言葉を詰まらせる。

 短小包茎にコンプレックスでも抱いているのか、彼の態度は煮え切らない。

 にも関わらず股間を膨らませている姿は、この上なく滑稽であった。

「しょうがないわね、特別に弄ってあげる。手なら怖くないでしょ?」

 あずさは静かに彼の股間へと指を這わせる。

 そして、膨らみと覚しき場所を扱いていくのだ。

 今、交わっている男を弄った時とは明らかに違う感触。それは酷く心許ないものだったがあずさは構わず愛撫を続けた。

「……うぅ、気持ちいい……、あ、ご……ごめんなさい……うぅ」

 男は魘されたように独り言を呟いている。

「何言ってるの? ウジウジしてると弄ってやらないわよ?」

「あぁ……す、すみません……」

「うふっ」

 あずさの中に次第に高まっていく優越感。

 それは生涯女と縁のないであろう男に快感をもたらしているという意識から生まれたものであろう。

 そう、彼にとって自分は救世主であり天使なのだ。

「どう? そろそろ出そう?」

「……は、はい……もう限界……です」

「そう、なら……ズボンの中に出しちゃいなさい。どうせ女の子の中で出す機会なんか永久にないんだから」

 あずさは昂ぶった感情を抑える事なくぶつけると、更に強くズボンを扱いた。

「……はぁ……はぁ、ぁぁ」

 程なく男は果てると、直立したまま身体を震わせる。

 彼がズボンの中に精を放ったのは、あずさにもわかった。

「あらあら、ホントにズボンに出しちゃったんだ……。もうちょっと我慢出来たら生で扱いてあげたんだけどね……。少しはお友達を
見習ったら?」

「……うぅ、申し訳ありません……」

 蔑むようなあずさの声に、男は情けない声を絞り出し顔を俯かせるのだ。

「まぁ、そんな短小チンポじゃ無理もないかもね」

「……ごめん……」

「うふっ、もういいわよ」

「…………あずさ」

「え……?」

 男の声にあずさは言葉を詰まらせた。

 自らの名前を呼ばれたからではない。

 その声が記憶の中に存在するものだったからである。

――この声って……まさか……?

「……前田、君……?」

 あずさは消え入るような声で男の名を口にした。

「ふぉふぉ、ようやく気づいたようじゃな」

 すると、伊三が彼女の元にやってくる。

「ほれ、面をとってやらんか」

「…………」

 男はすぐにフルフェイスのマスクを剥がした。

「……うそ?」

 あずさの視界に飛び込んできたのは紛れもなく耕治である。だが、その表情は酷く怯えており、かつての精悍さは微塵も感じられな
い。

 しかも、彼女を目の前にしても心ここにあらずといった状態で、キョロキョロと周囲を窺っていた。

「ふぉふぉ、心配せんでもいいぞ。今日はお仕置きはなしじゃ」

「……ど、どういう事ですか、これは……?」

 あずさが状況を理解出来ないのは無理もない話であろう。

「ふぉふぉ、お主に捨てられたこいつを儂が拾ってやったんじゃよ。心も身体も改造するのにはずいぶんと苦労されられたがの、まぁ
――その成果を少し試してみるかの? ほれ、便丸や今日のご主人様はお主がかつて好きだった女じゃぞ?」

「…………」

 耕治はすぐにテーブルの下に潜り込んだ。

 そして、這うように床を移動するとあずさの真下までやってくる。

「……ま、前田君?」

「……ちゃぷ」

 彼女の言葉に耳を貸す事なく、彼は床に垂れ落ちていた愛液と精液が混じり合った汁を舌で舐め取りはじめた。

 まるでそれが生業であるかのような躊躇のない動き。

 そこにはあずさの知っている耕治はもういない。

「どうじゃ? 器用なもんじゃろ?」

「……他には何が出来るんでしょうか?」

「お主も試してみればええ。だいたいの事は出来るぞい。何しろ便丸じゃからな、ふぉふぉふぉ」

「…………」

 彼女は自らの意志で、交わっていた男から腰を浮かすとそのまま席を離れる。

 その拍子に秘部から溢れた汁が床へと垂れ落ちるのがわかった。

「……うぅ」

 すると、椅子の下の汚れを舐め終えていた耕治は次にそこへ這い寄るのだ。

「ちゃぷ、ちゅぷ」

 砂漠で水を求める旅人のように床を舐めていく男。

 だが、そんな彼の前にあずさが戻ってくる。

「ほら、そんなところは後でいいから、こっちを綺麗にして。もちろん出来るわよね?……便丸?」

 彼女はかつて特別な存在だった彼の今の名を呼ぶと足を広げた。

 そう、彼女は隣のテーブルから持って来た椅子に腰掛け、スカートをたくし上げていたのだ。

「……かしこまりました、ご主人様」

 彼は恐る恐る近づくと股間に顔を埋める。

 程なく伝わってくる舌の感触。

 その動きは洗練されており、耕治は丹念に秘部を舐り絶え間なく逆流する他人の精液を飲み込んでいくのである。

「うふっ、うまいじゃないの」

 あずさは気持ちの昂ぶりを覚えながら、自らも彼の股間に履いていたヒールで刺激を加えた。

「……うぅ、ちゅぷ」

 耕治は明らかに快感を覚えていたが、舌での奉仕が衰える事はない。

「えらいわ、ほらっ」

 めり込むように股間に沈んでいくつま先。

 彼は短く息を漏らしながらも、懸命に秘部を舐め続ける。

「……はぁ、はぁぁ」

「じゅる、じゅぷ、うっ……」

「あぁん……っ」

 こうして足先に生温かい感触を覚えた頃、あずさも軽く気をやっていた。

 これまで味わってきた絶頂とは一味違う衝撃。

 だが、安堵するのはまだ早いのである。

「ご主人様、お願いがあります……」

 あずさは休む間もなく伊三の前に跪いていた。

 大勢の視線が突き刺さっていたが、躊躇する事はない。

「新しい家に……彼も、いえ……便丸も連れて行く事をお許し下さい……。生活費は全て私が稼ぎます。お願いします……」

 耕治と同じように床へ頭を擦りつけるあずさ。

 それは決して哀れみではなく、彼を変えてしまった責任を取りたかったためであった。

「ふぉふぉ、それは構わんがこやつはもう完全に壊れちょるけん、二度と普通の暮らしには戻れんぞ? それにこれからも依頼があれ
ば人間便器として稼いで貰うが、それでもええんじゃの?」

「は、はい……お願いします……、私が責任を持って管理しますから」

「仕方ないの。まぁ、お主にはこれからも稼いで貰うんじゃから、多少のわがままは認めんとな、ふぉふぉふぉ」

 伊三はそう言うと笑っていた。

 まるで最初から織り込み済みであったかのように。

「あ、ありがとうございます」

 しかし、あずさは胸を撫で下ろすと、いつまでも土下座を続けるのだ。

 肉便器に成り下がった男と一緒にいられる喜びに浸りながら。





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