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■ささやかな願い■


 

(第1話)






…祐一さん…素直に受け入れてくださいね…



「ど、何処行くんだ?栞…?」

  手を引かれながら、祐一は戸惑いながら栞の後に続いていた。

  彼としては、一刻も早く学校に戻りたかったのだが、半ば強引な栞の行動に流されつづけている。

「あそこですよ」

  そして、栞はその先にある建物を指差した。

「…え…?」

  祐一は思わず言葉に詰まる。

  前方に見えた、コンクリート製の小さな建物。

  それは、公園に付随している公衆便所だった。

  管理が行き届いているらしく、冬でも雪に埋もれる事なく、その存在と機能を有している。

  栞はそこへいくと言うのだ。

「………」

  祐一は、更に困惑した。

  だが、栞は彼の態度などお構い無しに、公衆便所の中へ足を踏み入れる。

  独特の異臭が二人の鼻をついた。

  だが、内部は外と打って変って、不気味なほど温い空気が流れている。

  床も、入り込む雪は完全に溶け、汚らしく濡れていた。

「さぁ、この中です」

  狭い空間に、栞の声が反響する。

  そして、半ば強引に祐一の手を引くと、個室に詰め込むように入り込んだ。

「…し、栞…。お前、何してるんだ?」

  さすがに祐一は、呆れながら語気を荒げた。

  狭い個室では、逃げ場を封じるように、栞がドアの前に立っている。

「今にわかりますよ」

  だが、栞は怯える様子もなく、笑顔を見せると、ゆっくりとドアを閉めた。

「実はですね…祐一さんにして欲しいことがあるんですよ…」

  そして、栞はそう言うと、羽織っていたストールを脱ぐように両肘に抱える。

  栞のストールの下が露わになった。

  白いセーターと赤と黒の二段スカート。

  祐一は、思わず息を飲んだ。

「…お…おい…」

  そして、彼は栞の意図を察すると、逃げるように後ずさる。

  だが、これ以上退がりようもなく、無意味に壁を背中で押すだけだった。

「遠慮する事はないんですよ…」

  栞は妖しく笑った。

「………」

  その、小悪魔的な微笑は祐一の本能を刺激する。

  だが、彼は正気でそれを押さえ込むと、栞の肩を抱えた。

  もちろん、彼女を諭すために他ならない。

「…栞。バカな事は止めろ。どうかしちまったのか??」

  祐一は真剣な眼差しで栞を見る。

  だが、そんな事で引き下がる栞ではなかった。

「わたし、何かおかしいですか?」

  祐一の目を見ながら、彼女はゆっくりと自らのスカートに手をかける。

  そして、黒と赤の生地を持ち上げた。

  すぐに、スカートの中身が彼の視線に露わになる。

  白い肌と、赤と黒のスカートの中央に見える純白の下着。

  祐一はたじろぐ。

  彼が如何に正気であっても、目の前で誘うように見せられては、心中穏やかではなかった。

  そして、祐一が再び制止に入る前に、栞は次の行動に出る。

  彼女の手が次に掴んだのは、その純白の下着だった。

  片手でスカートを支えながら、一気にその覆いを剥ぎ取っていく。

  そして、その中からは、栞の大事な部分が姿を見せた。

  それは、まだ生え揃っていない薄い恥毛に覆われ、綺麗な薄ピンク色をしている。

  しかも、個室の中を覆っている匂いとは別の、異質の匂いが祐一の鼻をついた。

「…し、栞…」

  祐一は完全に言葉に詰まっている。

  本来であれば無理にでも止めさせるところなのだが、突飛な展開と、栞の狂気とも
いえる強引さに、祐一は完全に呑まれていた。

  そして、半ば放心状態で、栞の秘所に目を向けている。

「どうですか?わたしのここ?綺麗ですよね?」

「お姉ちゃんにも綺麗だよ…って言われたことがあるんですよ?」

「…し、栞…?」

「冗談ですよ」

  完全に栞の独壇場だった。

  こうして、栞は膝まで下着を下ろすと、便器を跨ぐようにして祐一に迫る。

「さぁ、もっと近くで見てください」

  そして、指で自らの秘部を摘むように持ち上げると、ゆっくりと広げて見せた。

「………」

  衝撃が祐一に走る。

  知識としては持っていても、実際、見た事はなかった。

  それが、こんな至近で、栞の自発的行為によって目の当たりにするとは。

「…ぅ…ぅ…」

  祐一は体を流れる血が沸騰していく思いだった。

「さぁ…どうぞ、祐一さん。これが私の望みですから」

  そして、栞のその言葉がダメを押す。

「…わ、わかった…。ホントに…いいんだな?」

  祐一は目の前の誘惑に負けた。

「はい。いいですよ」

  そして、栞の声を聞くか、聞かぬかのうちに、彼は自らのズボンのチャックを下ろすと、
既に固さを帯びていた男根を掴み出す。

「わぁ…」

  栞は、少しだけ驚いた顔を見せるが、すぐに打ち消すと、これから自らが体験する行為への
心構えをはじめた。

  しかし、そんな事には気づくことなく、祐一は、ただ栞の秘部に神経を集中している。

  ただただ、未知への快楽を期待するかのように、男根は限界まで勃起していた。

「じゃあ…いくぞ…」

  祐一は小さく呟くと、男根の根本を握り、栞の秘部へその先を押し当てる。

「……ぁ…」

  栞の体を祐一の熱が走った。

  多少の恐怖感はあったが、栞はそれを押し殺しながら笑顔を作る。

  その顔は一段と淫靡に映った。

…じゅ…ぷ……じゅく…

  祐一の男根はゆっくりと、そして容赦なく栞の中へ埋没していく。

  秘部は無惨に捲れあがり、そこからは鮮血がしっとりと流れ出ていた。

「ぁあ、祐一さんのが…入って来ます…」

  栞は祐一の肩にもたれ掛かると、耳元で状況説明をするように呟く。

  その声は、甘く悩ましかった。

「…し、栞の中…あ、温かい…」

  祐一もそれに反応するように、自らを襲う快感を口に出す。

  そして、それが更にいやらしい雰囲気を生んだ。

  既に、男根は根本近くまで栞の中に埋没しており、流れ出る血と愛液が、うっすらと
輝いている。

「あぁ…ん。祐一さん…気持ちいい…」

  栞は痛みを堪えながら、そう呟いた。

  そして、それを鵜呑みにした祐一は、更に栞の奥へと進み腰を揺すった。

  公衆便所の個室は、二人の息遣いと、生々しい肉の音だけが響いている。

  しかし、今の二人には誰かに見られてしまうかも知れないと言う恐怖感などはなく、
ただ自らが直面している感覚のみに集中していた。

「…あぁん…祐一さん…?これ…」

  そして、ほとんど抱きかかえられるように、祐一に覆い被さっていた栞が、ポケットから
あるものを取り出す。

「…ん??」

  それは、インスタントカメラだった。

「…これで…わたしを写して…下さい」

  栞は悩ましい表情で、祐一に嘆願する。

「で、でも…どうして…??」

「き、記念が欲しいんです…。一生に一度の想い出ですから…」

「…わ、わかった…」

  祐一は戸惑ったが、押し寄せる快感と栞の甘い囁きには勝てず、素直にカメラを受け取った。

  そして、壁にもたれると、片手で栞の腰を掴み結合部を露わにする。

「全身が入るように…お願いします…」

「…あぁ…」

  祐一は股間を襲う快楽に溺れながらも、片手でカメラを持つと、必死に標準を合わせた。

  だが、その時、栞の表情が苦しそうに変化する。

「…し、栞?大丈夫か?」

「へ、平気ですよ。このくらい苦しそうな顔の方が、あとから見た時に感動も沸きますから…」

  栞は涙を流しながら、うっすらと笑った。

「……。それじゃあ…撮るぞ…?」

  祐一は栞の言葉に首を傾げながらも、再びその体にカメラを向ける。

…パシャ

  すぐにシャッターが下りた。

「もっと撮ってください…」

  だが、栞は飽き足らないのか、甘い声で何度も迫る。

…パシャ

  祐一は続けた。

  その度に、秘部を男根に捲り上げられ、血を流しながら泣いている栞の写真が撮られて行く。

「…はぁ…はぁ…ありがとうございます…」

  そして、栞は自らの痴態が映った写真をポケットにしまうと、再び行為に神経を集中させた。

  すっかり結合部は血と愛液に覆い尽くされ、祐一が動く度に泡を立てながら流れている。

「今度はわたしも動きますね…」

  そして、栞は自らも腰を動かしはじめた。

  祐一は更に押し寄せる快感に合わせるように再び荒々しく動きはじめる。

  行為は一層激しさを増していた。

  二人は、そこが便所だと言うことも忘れ、獣のように抱き合い続ける。

「あぁ…ぁぁ…ぁ…」

「し、栞ぃ…」

  そして、とうとう祐一は限界を迎えた。

「うぅ…し…おり…。…も、もう…」

「はい…い…イってください…そのまま…」

  栞も、必死に意識を保ちながら、彼の絶頂を受け止めるべく微笑む。

…びゅく…どぴゅ…

  すぐに下腹部に射精の衝撃が襲った。

  祐一は体を震わせながら、その快感に身を委ねている。

「…あぁ…祐一さん…」

  そして、栞はただただ嬉しそうに彼を見ていた。

  結合部からは、血と愛液に混ざり、祐一の精液が流れはじめている。








  しかし、これで終わりではなかった。



  無音の個室では、栞がティッシュで自らの秘部を拭っていた。

  未だ、祐一の精液は独特の匂いを醸しだし、トロトロと外に溢れ出している。

  祐一は、既に服装を整えると、どこか申し訳なさそうに栞を見ていた。

「…栞…。大丈夫…か?」

  そして、小さく声をかける。

「はい、大丈夫に決まってます。お相手が祐一さんですから」

  しかし、栞は笑顔のまま祐一の方に顔を向けた。

  穏やかで屈託のない表情。

  祐一は少しだけ、気が楽になった気がした。

「…あ…」

  しかし、その時、彼の脳裏に一人の女性の姿が過ぎる。

  川澄舞。学校ですぐに戻ると声を交わした女性だった。

…舞…。もしかして…今頃…

  祐一の胸がとたんに重くなる。

  そして、再び申し訳なさそうな顔を見せると、栞に向かい口を開く。

「…すまん栞…。俺…そろそろ戻らなきゃ…。お前がどういう意図でこんなことをしたのか…
よくわからないけど…。明日…じっくり聞かせてくれ…。本当にすまん…」

  祐一は俯きながら、正直に言った。

  しかし、栞の口から発せられた言葉に、祐一は凍りつく。

「ええ。わかりました…。でも、祐一さんに明日があるんでしょうか?」

「…?。どう言う事…だ?」

「わたし、これからこの写真を持って警察にいくんですよ。相沢祐一って人にレイプされた事
を報告しに…」

  台詞と相反して、栞の表情は終始笑顔だった。

「…しおり…?」

  だが、あまりの唐突さに、祐一は状況を飲み込めていなかった。

  まるで幻聴でも聞いたかのように、目を白黒させている。

「ですから、明日は祐一さんは学校に来れませんよ?間違いなく逮捕されちゃいますから」

「…冗談…だろ…?」

  そして、ようやく事態を理解した祐一は、力なく呟くと肩を落とし情けなく笑った。

  同時に押し寄せてくる破滅の恐怖。

  ぶつけようのない焦燥感が彼を包んでいた。

  しかし、栞は続ける。

「お姉ちゃんのクラスから犯罪者ですか。恐いですよね」

  まるで他人事のような口ぶりだった。

「………」

「では、今日はありがとうございました。今度は裁判でお会いしましょうね」

  そして、放心状態の祐一を背に、栞はゆっくりと個室のドアを開いた。

  すっと、冷たい風が吹き込んでくる。

  だが、その時、祐一は我に返った。

「…ま、待ってくれ栞…。い、一体…何が望みなんだ??」

  祐一は栞に縋りつくように情けない声を上げる。

  表情は無惨に崩れていた。

「望みですか?でも、祐一さんに出来るかな?」

  栞は茶目っ気たっぷりに祐一を見下ろす。

「…する…何でもするから…。勘弁してくれ…」

「そうですか。それではよく聞いて下さいね。これから祐一さんはわたしの指示に従って
行動してもらいますよ?もちろん、アイスだってチョコかストロベリーを選ぶ時も勝手に
決めちゃだめですからね?」

  栞はまるで子供でもあやすように、祐一に話しかけた。

  祐一も、ただ半ベソをかきながら、何度も頷く。

「よかった。それでは警察に行くのは止めにしましょう。その代わり、明日、お昼休みに
中庭でお待ちしていますので…」

  そう言うと、栞は公衆便所を後にする。

「………」

  祐一は何も言えなかった。

  今も取り返しのつかない事をしてしまった後悔と、いつ訪れるかわからない破滅への誘いに
怯えている。

  そして、無言で俯いたまま、いつまでもそこを動く事はなかった。







  外はいつの間にか雪が止んでいた。

  栞は、公園の寒くも新鮮な空気を吸いながら、次の展開に小さな胸を高鳴らせている。

…明日。楽しみです…

…やっとお姉ちゃんにわたしの事、思い出してもらえそうだから…




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