(第3話) その日は夜半から大雪に見舞われていた。 栞は自分の部屋で一人机に向かいながら本を読んでいる。 既に夜半を過ぎていたが、寝付く事が出来ないでいた。 …いよいよ…明日… …振り向いてくれるよね…? …お姉ちゃん… 栞は静かに呟くと、窓越しに空を見上げる。 漆黒の闇から降り注ぐ白い雪。 栞は渦巻く不安を抑えるように、じっとその光景を見ていた。 …あとは…私次第… 翌朝。 栞は目を覚ますと、パジャマのままカーディガンを羽織り、リビングに降りる。 キッチンからは、焦げたトーストや、ベーコンの匂いがほのかに漂っていた。 そして、リビングのテーブルに向かっている後姿が目に入る。 ウエーブのかかった長い綺麗な髪。 それは紛れもなく香里だった。 ゆっくりと斜め後ろに近寄ると、栞は息を飲む。 「…お姉ちゃん…?おはよう」 そして、一呼吸置くと、いつも通りの声で姉に話し掛けた。 「…………」 だが、香里は何も答えない。 そればかりか、振り向く事さえなかった。 「おねえ…」 「…お母さん?私、今日はもう行くから」 そして、栞の次の声を遮るように姉は立ち上がり、キッチンに居た母親に声をかけると、 そのまま彼女の脇を抜けリビングを出る。 栞はそれを呆然と見送るしかなかった。 虚しさに似た、寂しさが彼女を包む。 だが、その時、キッチンから母親が顔を覗かせた。 「あらあら、もう出来るのに…?あら、栞おはよう。今日は早いのね」 「おはよう…お母さん。たまには早く起きるのもいいかなって思ったの」 「そう。でも、あんまり無理しちゃダメよ?」 「うん。わかってる」 母親の声に、栞は小さく微笑を浮かべた。 そして、姉の座っていた席に腰掛ける。 母はキッチンに戻ると、すぐに温めてあった牛乳が入っているカップを差し出した。 「はい。熱いから冷まして飲むのよ」 「お母さん…、子ども扱いしすぎ…」 「そうかしら?でも、私から見れば栞はいつまでも子どもよ?」 「そんな事言うお母さんは嫌いです」 「うふふっ」 少しだけ冷えかかった部屋に、再び温かい空気が流れはじめる。 栞は、少しだけ嬉しかった。 「…でもね、栞?」 「なに?お母さん?」 「最近…香里と仲が悪いみたいだけど…、喧嘩でもしたの?」 母親の一言に、一瞬、栞の顔が曇る。 しかし、すぐに表情を元に戻すと、笑顔で言葉を返した。 「そんな事ないよ?お姉ちゃんと私はいつでも仲良しだよ?」 「そう…、それならいいんだけど…」 母親は完全には納得していないようだったが、彼女の反応に、これ以上何も言う事はなかった。 そして、朝食を用意すべく、再びキッチンへ戻っていく。 …そう…仲良しなんだよ… …だって お姉ちゃんは… 今日から…私なしでは生きていけなくなるんだから… 両手でカップを抱えながら、栞は湯気を見つめそう呟いた。 そして、次第に不安は高揚へと変わっていく。 …もう…迷わないよ… …お姉ちゃん 軽い朝食を摂ると、栞は着替えを済ませ家を出る。 いつものように学校へ向かう為だった。 外は昨夜の大雪が嘘のように晴れ渡っている。 道の脇に集められた残雪が無ければ、雪が降った事すらわからないほどであった。 栞はそれを見る度に、胸の奥が痛んだ。 …私は…雪じゃないから… …私は…栞… …美坂…栞…だよ… 自分に言い聞かせるように呟きながら、彼女は学校への道を歩んでいく。 既に頭の中では、これから起きるであろう出来事が、ドラマのシーンのように再現されていた。 あとはその決行の時間を待つだけである。 そして、いつしか学校に辿り着く。 誰もいない校門を抜けると、一人中庭の方へ進んでいった。 やはり、そこにも誰一人として姿はない。 いつもの場所に立ち止まると、彼女は目の前の校舎を見上げる。 窓際に見える生徒は、皆、授業に集中していた。 ただ、一人を除いては。 …祐一さん…こんにちは 栞はストールを羽織りなおすと、その唯一授業に集中出来ないでいる相沢祐一に 声をかけた。 もちろん、その声が彼に届く筈はない。 だが、彼は酷く憔悴した顔で彼女の存在を受け止めていた。 …祐一さん…それじゃ先生に叱られちゃいますよ? 栞は、そんな気遣いをしながら、ひたすらぎこちなく振舞う祐一を眺め続ける。 案の定、彼は何度となく教師に注意され、クラスの失笑をかっていた。 もちろん栞にも。 祐一にとっては救いようのない時間が過ぎていく。 やがて学校中に予鈴が響き渡ると、約束の時間がやってきた。 予鈴と同時に、祐一の姿は消えている。 既にこちらに向かっているのだろう。 栞は少しだけ胸を高鳴らせると、じっと正面を見ていた。 程なく、中庭に面した鉄の扉が開かれる。 その奥からは姿を見せたのは、案の定、彼だった。 疲れ切っているのか、その動きに精彩はない。 定まらぬ足つきで、祐一は彼女の前に辿り着いた。 「こんにちは、祐一さん。お待ちしておりました」 「……栞……」 いつも通りの栞の挨拶に、祐一は、そう言うのが精一杯だった。 他の言葉を噤む余裕はない。 彼は、おどおどしながら彼女の言葉に怯えている。 逃げ出したい。 でも、逃げ出せない。 そんな心境だった。 栞は笑顔で続ける。 「そんなに怯えないでください?」 「………ぅう…」 「祐一さんにとっても、決して悪い話じゃないと思いますよ?」 そして、そう言うと、祐一にそっと耳打ちした。 「……………」 「わかりましたか?」 「……………」 祐一は声には出さなかったが、震えながら小さく頷く。 そして、ゆっくりと校舎に戻っていった。 栞も後に続く。 いよいよはじまる宴に参加する為に。 校舎の中は昼休みだった。 教室では、話に花を咲かせるもの、次の時間の予習をするもの、ひたすら 寝入っているものと、千差万別だった。 そんな中に、祐一は戻ってくる。 「あ、ゆういち?何処行ってたの?」 彼に声をかけたのは名雪だった。 丁度、香里と話をしている最中のようで、椅子を反対に向け、彼女の席に身を乗り出している。 だが、祐一は名雪を無視すると、そのまま香里の傍に寄り、そっと囁いた。 訝しげな顔をしていた香里だったが、その言葉を聞いて表情が変わる。 「……どういうこと…?相沢くん…?」 「…そういう事だよ…」 「そう…」 そして、香里は顔を顰めると、腕を組みながら俯いた。 「…か、香里??どうしたの?」 そんな彼女に、名雪は心配そうに声をかける。 だが、香里は何も答えなかった。 祐一は、ただ無言のまま傍に立っている。 三人だけ教室の喧騒から取り残されているようだった。 祐一と名雪はじっと香里を見ている。 まるで何かに耐えているような表情だった。 額には、うっすらと汗が滲んでいる。 それでも香里は何も言わず俯いていた。 だが、その時、祐一が差し迫った顔で呟く。 「…時間が…ないんだ…」 ガタッ その瞬間、香里は立ち上がっていた。 あまりの出来事に、急に教室が静まり返る。 全生徒の視線が、彼女に集中していた。 「…あ、ごめんなさい…。何でもないの」 香里は必死に笑顔を取り繕うと、クラスメイトたちに声をかける。 そして、それを境に再び教室は喧騒に包まれた。 それを見計らったように、香里は小さい声で囁く。 「…相沢くん…。案内して…」 「あぁ…」 「え?ど、何処行くの?」 「ちょっと…ね。すぐに戻るわ」 「名雪…代返頼むぜ」 「わたし…女の子だよ」 「名雪なら何とかなる」 「ならないよぉ…」 祐一と香里は、名雪をはぐらかすと教室を出た。 彼だけが知る目的地へと早足で歩いていく。 「い…いったい何処なの?」 「着けばわかるさ」 香里を従えている祐一は、そう言うと更にスピードを上げた。 そして、ようやくその場所に着くと、彼はドアの前で立ち止まる。 部屋には「音楽準備室」と書かれていた。 彼女は蒼ざめた顔でドアを見つめている。 「…ここ…なの…?」 「あぁ…そうだ…」 香里はいてもたってもいられなかった。 祐一の声が響くか響かないかのうちに、ドアを開けると部屋に飛び込む。 「…栞!?」 中は、たくさんの楽器が所狭しと並べられており、その奥の平机の上に栞は横たわっていた。 ストールを大事そうに羽織り、まるで眠っているようだった。 「…し、栞…」 香里は、魘されるように妹に近づくと、彼女の頬に手を触れる。 既に瞳は大粒の涙が溢れていた。 そして、その涙の雫が栞の顔に落ちる。 だが、その時だった。 不意に彼女が目を開いたのだ。 「…ご苦労さまでした。お姉ちゃん」 「……………?」 あまりの展開に、姉は目を疑う。 「…ど…どういう事…?」 そして、背後にいた祐一を見た。 だが、彼は何も答えず、ただ俯いている。 香里は騙されたと言う事に気がついた。 しかし、そんな彼女を嬉しそうに栞は見ている。 「ようやく、私の名前を呼んでくれたね?お姉ちゃん」 「……………」 「あれ?また忘れちゃったのかな?」 「…知らないわ…あなたなんか…」 そんな妹に、姉は再び無碍な態度を取った。 「あらら。でもね、お姉ちゃん。もう手遅れだよ?」 「…手遅れ?」 「そう、だって…お姉ちゃんは今日から私の名前を呼ばなきゃいけなくなるから」 「…………??」 「さぁ、祐一さん」 「…………」 栞に声をかけられると、祐一は無言のまま香里の前に出る。 それは、彼女の知る祐一の雰囲気ではなかった。 「…あ、相沢くん?」 香里は咄嗟に、危機感を感じた。 そして、教室の角へと下がっていく。 「…あ、嫌っ!」 だが、祐一は一気に距離を詰めると、香里に覆い被さった。 体を擦りつけるように重ねると、荒々しく体を弄る。 あまりの勢いに、彼女は抵抗する事が出来ない。 そして、床に押し倒されると、祐一は香里の制服に手をかけた。 …ビリッ 生地が裂ける音とともに、彼女の制服は無残に引き裂かれていく。 すぐに、香里の柔らかい肌が祐一の前に露出した。 …ビリリッ… だが、彼は飽き足らないように、更に香里の制服を引き裂いていく。 白いケープと制服の切れ端が、彼女の周りに散らばっていった。 「…いやぁ…ぁ…」 薄緑のショーツとブラジャーを晒すと、香里は情けなく声を上げる。 普段のクールな彼女からは、想像もつかない仕草だった。 「…………はぁ…はぁ」 そんな香里を祐一は舐め回すように見つめている。 そして、ひっくり返すように押し倒すと、祐一は腰を抱え、彼女の股間に顔を埋めた。 ショーツ越しに感じられる、彼の鼻や口。 香里は体験した事のない感触に、恥ずかしさと震えが止まらなかった。 「やぁ…ぁ…やめぇ…やめて…」 身も蓋もなく、何度も懇願する。 しかし、今の祐一にその行為を止める自制心はなかった。 ある意味、恐怖に怯えながら香里の股間を貪っている。 あっという間に、ショーツは祐一の唾液で濡れ、汗は太腿や背中を伝う。 「祐一さん、がんばって」 栞は一人呑気に、祐一に声をかけていた。 それが彼女には信じられない。 「…ど…どう…してぇ…、あぁ…」 …ビリリッ 香里が栞の方に気をとられた瞬間、今度は祐一がショーツを引き裂く。 「い、いやぁぁ…ぁ…」 二人の視線に、香里の豊満な尻と、その中央にある秘部と肛門が飛び込んでくる。 どちらも、祐一の唾液で妖しく濡れ光っていた。 そして、すぐに彼はそこに顔を埋める。 …じゅる…くちゃ… 「はぁ…ぁ…いうぁ…ぁ…」 先ほどと比べ物にならない衝撃が彼女を襲う。 体の芯に届くような、熱い感触。 そして、体の力が抜けるような感覚が香里を取り巻いた。 …じゅる…ずるぅ 執拗に香里の秘部を舐め上げる祐一。 すっかり花弁は唾液でふやけていた。 そして、しっとりと溢れはじめた愛液が、唾液と混ざり肛門に透明な膜を作っている。 「祐一さん、激しいですね」 栞は、それを楽しそうに見つめていた。 だが、既に香里はそんな彼女に気を向ける余裕すらない。 耐えなければ、そのまま気を失ってしまいそうだった。 「…はぁ…はぁぁ……はぁ…」 「うふっ、どうやらお姉ちゃん…かなり気持ちいいみたいですね、祐一さん…?今度は私にしたみたいにしてあげて下さいね」 「…わ、私に…??」 だが、香里はその言葉には、必死に反応した。 そして、困惑する意識の中を最悪の光景が霞めていく。 「…あ…あいざわ…くん…、し、しおりを……ひぃ!」 …ずぶっ だが、言い終えぬうちに、祐一はいつしか男根を握ると、香里の秘部を貫きはじめていた。 今にもはちきれそうな程勃起していた男根は、凶器のように彼女の肉を抉っていく。 掛け替えのないものが失われた瞬間だった。 「ひぎぃぃぃ……ぃ!!」 香里の体を、壊れるような痛みが駆け抜ける。 そして、それは次第に強くなっていく。 「いぃ痛っ…ひぁぁぁぁぁぁぁぁ…」 彼女は目を剥きながら叫んだ。 だが、栞もその状況を止めようとはしない。 「祐一さん、これで私たち姉妹を征服しましたね」 「ひ…ぁぁ…!」 そればかりか、おぞましい事実を突きつけ、更に香里を困惑させた。 そして、祐一は少しでも中へと進むべく、男根をこじ入れている。 秘部から流れ出た血が尻を伝わり、太腿へと伝わっていく。 だが、そんな事に気がつく余裕もなく、香里は押さえつけられ貫かれる痛みに苛まれた。 男根はいつしか、完全に彼女の膣内に埋まり、小刻みに動く度に祐一の剛毛や玉が股間を擦る。 「あぁ…がぁ…ぁ…、やぁ…や…めぇ…、ひぎぃあぁ…」 延々と続く処女喪失の痛みに、香里は自分の認識の甘さを痛感した。 そして、子宮を突く男根にただ涙する。 だが、それは香里にとって堕落への序曲でしかなかった。 次へ |
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